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2022.05.09 UP

介護・福祉業界におけるお悩みと解決策をご紹介 vol.5 ~認知機能の不安な方にも快適なお買いものを~決済サービス『KAERU』をリリース

介護・福祉の分野では、ご利用者様のケアのほか、経営・現場人事まで幅広い困りごとや悩み事に日々直面しています。そんな皆様に向けて、介護・福祉業界を良くしようと支援する様々な民間企業の方にお話を伺いし、困りごとの解決に役立つような情報をご紹介します。今回のテーマは【お買いもの×テクノロジー】。LINE PAY、メルペイの立ち上げに携わった2名で設立された KAERU株式会社の岡田さん、福田さんに詳しいお話をお聞きしました!

 

高齢者やそのご家族が、安心してお買い物を楽しめる決済サービス

――どのようなサービスを提供していますか?

KAERU株式会社は、認知症者や高齢者の方が安心してお買いものが出来る、決済サービス「KAERU(かえる)」を運営しています。高齢者の方の生の声を大事にし、「お買いものを通して、様々な人が社会経済に参加し続ける」ことを目指しています。お買いものは単なる消費行動ではなく、本人が自分らしさを保ち続け、経済活動の参画として重要な行動だと考えています。そうすることで、健康寿命の増加につながり、超高齢化社会が進む日本のシステム維持に繋がると考え運営しています。

介護・福祉業界でみられる問題

――介護業界におけるどんな問題に対峙されているのでしょうか?

(1) 超高齢化社会を前提にした、社会環境整備の不足
日本の高齢化は右肩上がりに進行しており、人口動態に鑑みてもこの傾向は継続していくことが予想されます。一方で、金融資産はシニア世代に偏在しているものの、シニア世代が適切にお買いものを続けられる社会環境が未整備のため、社会の高齢化や個人の認知症が進むにつれ、経済活動への離脱を余儀なくされる方が増加しています。つまり、現状ではお買いものができない、苦手とする方が社会に合わせる必要があります。

(2)人口減少に伴う、医療・介護費の増加
超高齢化だけでなく人口減少も進行していく中で、医療・介護費は増加し続けています。一方で、税収は増えず、介護を受けたい人が増えていく中で多くの方に医療介護を提供する、現状のシステムを維持し続けることが困難になることも予想されます。
また、国民の平均寿命の延伸に対応して、「生涯現役」を前提とした経済社会システムの再構築が必要と考えています(*1)。
そこで、経済活動を通じて、個々人が健康を維持しつつ社会との接点を持ち続けることで、健康寿命の延伸に繋がり、日本のシステム維持に寄与することが出来る可能性があると考えています。それは、在宅での生活中に留まらず、介護施設利用時においてもいうことができます。

(3)加齢に伴う苦手の増加
加齢とともに、これまで自分一人でできていたことが、できなくなったり、時間がかかったりするなど、歳を重ねるにつれて苦手となることが増えていきます。
例えば、短期記憶や計算力などに関する苦手が増え、お買いものにおいて、多重買い・買い忘れ・財布の紛失・レジで時間がかかる・払い忘れるなどの小さな失敗が発生します。失敗が増えることで、本人も自信を失うとともに、家族の心配も高まり、お買いものから遠ざかってしまっている現状があります。そして活動の機会が減少はさらなる症状の悪化につながっていきます。
弊社の調査の結果(*2)では、認知症・軽度認知障害と診断を受けた方の39%の人はお買いものに行かない・行けないと回答。しかし、サポートする家族・知人・介護職の方の8割以上の方は行けない理由や不安が解消した場合、お買いものに行って欲しいと回答しています。

――どのようにそれらの問題を解決しているのでしょうか?

私たちが提供する決済サービス「KAERU(かえる)」は、加齢とともに発生する苦手を、キャッシュレスやスマホといったICT技術を使って補うことで、お買いものを楽しみ続けていただくことにチャレンジしています。
一般的なキャッシュレスサービスとは異なり以下のような機能を備えています。
1 買い忘れ・重複買い防止のリマイダーやメモなどのアシスタント機能
2 任意でのパートナー設定

(1)買い忘れ・重複買い防止のリマイダーやメモなどのアシスタント機能
2021年9月にはKAERUのβ版アプリとして、位置情報と連動してお知らせをしてくれるお買いものメモ機能を提供開始しました。短期記憶に苦手がある当事者の方々は紙にメモを書いて、お買いものに行くのですが、メモ自体を家に置き忘れることや、メモを持っていることを忘れてしまうなど買い忘れが発生してしまいます。そこで、我々はお店の近くについたら、スマホがメモを見るようにお知らせしてくれる機能のついたお買いものメモを開発しました。
実際に認知症当事者の方にKAERUβ版アプリをご利用いただき、お買いものに関するメモだけでなく、それ以外の病院の予定などについても活用いただくなど、我々が想定して範囲を超えて工夫をしながら使っていただいています。また、弊社が運営しているオンラインでのコミュニティでは当事者の方同士で使い方の工夫を教え合うといったコミュニケーションも生まれております。
(2)任意でのパートナー設定
利用者アプリでの権限設定に応じて、あらかじめ設定したパートナー(家族や介護従事者)にて決済履歴の閲覧やチャージ操作が可能です。
パートナーが管理するためではなく、あくまでも利用者が自立した生活を送るための支援者としてパートナーを設定するというコンセプトです。
KAERUはこの春に決済機能を搭載し本格リリースを行います。決済機能の開発にあたっても、カードでの決済や毎日の利用金額のコントロールといった機能が本当に使い勝手が良いのかを確認するため、当事者の方にモニター利用いただきながらアドバイスを頂戴しました。
今後もご本人の意見やニーズを反映したサービス開発を進め、加齢に伴う苦手のサポートをし続けていきたいと考えています。

今よりもっと良い施設運営を目指す方へ

私たちが社名にしている『KAERU』には、3つの意味を込めています。
・自由にものを『買える』
・利用者やご自身のお財布がちゃんとおうちに『帰る』
・加齢により認知機能が低下するとお買いものをできないと言われている常識を『変える』。そのような社会を私たちは目指しています。
高齢化に伴い、ますます施設利用者の増加が進む中、一人一人を尊重したケアこそが利用者の自立支援にも繋がるのではないかと考えられます。そして、私たちはお買いものを通して、様々な人が経済活動に参加し続けることが、その人の心身の健康維持に繋がるだけでなく、本人が自分らしさを保ち続け、周囲がそれを尊重することにも関係すると考えています。
視力が落ちたらメガネをかけるように、足腰が弱ったら杖をつくように、認知機能の不安に対してもそれを補うサービスを利用することで、さらに充実した生活を送ることができると考えています。社名に込めた思いの一つである、常識を『変える』を目指して新たなチャレンジをしていきたいと思います。

今回ご紹介した企業

◆KAERU株式会社(https://kaeru-inc.co.jp/service
サービス紹介動画 (https://www.youtube.com/watch?v=-bpiwOhLDSA)

「誰もがお買いものを楽しみ続けられる世の中にする」をビジョンに掲げ、認知症のある方が安心してお買いものが出来る、決済サービス「KAERU(かえる)」を運営。LINE Payの事業立ち上げに携わった代表取締役岡田、メルペイのオペレーション部門立ち上げ責任者として携わった取締役福田の2名で2020年に創業。「超高齢化と人口減少に伴う医療費・介護費の増加問題」「加齢に伴い増えていく課題」など、高齢化よる社会問題をデジタル視点で解決することを⽬指し、エイジテックに取り組んでいる。
出展:*1  次世代ヘルスケア産業協議会の今後の方向性について
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai

*2 KAERU株式会社「認知症・軽度認知障害と診断された方の39%が買い物に行かない・行けない理由とは?」
https://round-espadrille-c61.notion.site/39-aeb7e2b9663848cb8bcbce59758dc5da

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【文: KAERU株式会社,HELPMAN JAPAN 写真: KAERU株式会社 提供】

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