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2024.09.11 UP
2024年2月に開催されたイベント「社会福祉HERO’S」。同年に新設された賞「社会福祉学生ヒーローズ賞」は、高校や大学、専門学校の団体やサークルで、創意工夫あふれる学生による福祉活動を表彰する賞です。(2024年度も実施予定です!)
受賞した5団体に、活動の詳細や社会福祉学生ヒーローズ(以下、学生ヒーローズ)に参加した理由などを伺い、3回に渡ってご紹介するこの企画。今回は、第1回目の記事です。
目次
1.# 福祉っぽくないかわいいデザイン # 10年前の取り組みを復活させた! # 福祉をみんなごとに(wel-bee))
2.# 高校生をレンタル!? # ちょっとした困りごとをお手伝い # 若者の力が与えるパワー!(レンタル高校生/上田千曲高校)
3.# デジタル旅行体験で涙 # 多世代カフェでつながる # 継続が居場所になる(FIOREI)
4.# デジタルアート #楽しくリハビリ # 高校生と専門学生がタッグを組む!(デジリハJK/陽明高校)
5.# 島暮らし # ボランティア # 島の高齢者と学生をつなぐ(さぬき広島ボランティ愛ランド)
6.# 社会福祉学生ヒーローズ #今後の期待
# フリーペーパー # 手に取りたくなるデザイン # 福祉をみんなごとに
▲今回インタビューに答えていただいたのは、wel-beeの前田さんです!フリーペーパーを通じて、福祉の面白さをおしゃれに発信する取り組みをしています。
wel-beeは10年前に活動があったものの、人数不足で活動が無くなってしまったそうですね。その団体の活動を再開させた経緯や想いを教えてください!
wel-beeという団体が過去にあり、福祉に関する情報発信をするフリーペーパーを作っていたことを知ったことがきっかけです。教授にそのことを紹介したところ、「復活させてよ」と背中を押していただき、wel-beeの前の代表にも繋いでいただいて、とんとん拍子で復活する形に至りました。
「復活させたい!」と思った理由として、私は社会福祉学科に所属しているのですが、他学科の友達に「偉いね」「すごいね~」って言われるんです。そこで、福祉の像がみんなとは違うんだと気づいて、何とかしたいと思っていました。だからこそ、と復活を進めることができました。
活動を行う上で工夫していることなど、お教えください!
福祉に興味のない学生に、どうやったら興味がもってもらえるかを考えて活動しています。例えば、フリーペーパーやWEBサイトのデザインは、
「可愛いから」手に取ろう、というモチベーションをくすぐるような工夫をして、入口を入りやすくするようにすることを心掛けています。
そのほかにも、学生の感想を必ず入れるようにしたり、ワクワク感が伝わるように学生ならではの口語体で表現したり、絵文字を使うようにもしています。(Wel-bee WEBサイト:https://wel-bee.com/)
▲一見すると福祉に関するフリーペーパーと感じさせない表紙。イラストなども含めてすべて手作り。街中の雑誌等を参考に作成している。
活動の中で、面白いと感じる場面を教えてください!
私が特に面白いと思う場面は取材するときなのですが、世の中には想像以上に熱意をもっている人がたくさんいらっしゃることを知れて、かつその方のお話を聞くのが楽しいですね。
例えば先日、わんちゃんと暮らせる老人ホームを取材させていただいたのですが、「なぜこの取り組みをしているのか?」とお聞きしたところ、代表の方は、「面白そうだし、楽しくない?」とおっしゃっていたんです。一般的に介護は保守的で硬いイメージがある方もいるかなと思うのですが、
▲取材の様子(上)とフリーペーパーの編集会議をする様子(下)
▲配布先は大学や社会福祉協議会など。学校や施設等、置いてほしいという要望があれば設置も可能だそう
学生ヒーローズを知ったきっかけを教えてください!
社会福祉協議会の方からメールをいただいたことで知りました。
ホームページを見て、それに、応募要項を見たときにwel-beeに当てはまっている!とも思いました。書類を作成することを通して、自分たちの活動を振り返るきっかけになるので、いい機会として利用する気持ちで参加するもいいのかなと思います。
学生ヒーローズに参加して良かったと思うことを教えてください!
今まで賞を取ったことがなかったこともあり、活動の成果を残せたと達成感がありました。また、所属大学のホームページにも載ったことで、認められたと感じてモチベーションも上がりましたね。
加えて、今までの活動の積み重ねもありますが、受賞も一つの理由としてOBOG会からの支援金もいただくことができ、活動の幅が広がるきっかけとなりました。
今後に向けて取り組みたいことを教えてください!
新しい号が発刊したばかりなので、まずはそれを多くの方にとどけられるように頑張りたいです。長期的には、wel-beeの取り組みを知る人はまだ少ないと思うので、SNSやWEB、フリーペーパーの発行もさらに頑張っていきたいと思います。
▲前田さん、インタビューさせていただきありがとうございました!
# 高校生をレンタル!? # ちょっとした困りごとをお手伝い # 若者の力が与えるパワー!
▲レンタル高校生を経験した3年生。今回取材させていただいたのは、上田千曲高校の等々力先生と、生徒2名(松井さん・滝沢さん)。
面白いネーミングの取り組みですね。はじめたきっかけを教えてください!
2023年4月から福祉科の高校生の課題研究として始まったプロジェクトです。地域の高齢者の課題を研究して、高校生の目線で何かできることをしようという目的のものなのですが、コロナ禍で高齢者と関わる機会が少なかったことから、まずは高齢者と接してそこから困っていることを知ろうということで始まりました。
をしてみたところ、学生からは「とても楽しくてやりがいがあった」とその後も自発的に継続して取り組んでくれています。
▲地域の高齢者と折り紙をする様子
どのような想いで取り組んでいますか?
教員としては、実際に地域の高齢者の方と関わって、その方の生活や暮らしを知ってほしいという想いです。高校生が高齢者の依頼にこたえ、相手の方から感謝の気持ちをいただく。そのような相互のやり取りから、福祉の楽しさややりがいを感じてもらえれば嬉しいなと思い、活動を後押ししています。今年で2年目のプロジェクトで、新たに3年生が取り組んでいます。本日は、そのうちの2名がインタビューに答えてくれます。
昨日、レンタル高校生として参加してご自宅にも訪問して草刈りをしました。高齢者の方が実際に困っていることをお聞きし、私たちにも出来ることがたくさんあるなとわかり、
コロナ禍で地域の方との繋がりが減っていた中で、地域の高齢者の方の困りごとをお聞きすることから関わっていくことで、
これまでの取り組みで、どんなエピソードがありましたか?
これまで15件のご自宅を訪問させていただきました。1件1件の訪問すべてにドラマがあるのですが、特に印象深かったのが「部屋の片付けとスマホの使い方」をご依頼してくださった方のエピソードです。
1回目の訪問が終わった後、スマホの使い方について困っている高齢者が多いのではと思い、地域の方を学校に招いてスマホ教室を企画しました。その際、1回目の訪問をご依頼してくれた方がスマホ教室にも参加してくださり、レンタル高校生の依頼も再度したいとおっしゃっていただきました。2回目の依頼は散歩で、家から公園まで300メートル程の距離ではあるものの、ひとりでは足腰が悪く難しい。介護ヘルパーは散歩が支援項目の中に入っていないということで、レンタル高校生が居て助かったとおっしゃっていただきました。1回の出会いで終わらずに継続できたということがとても嬉しかったですね。
▲地域の方とレンタル高校生が、一休みをする様子
もう一つエピソードをご紹介すると、元画家の方より絵画を見てほしいというご依頼をいただき、絵を見てお話を聞いていたところ、現在は詩吟をやっていると教えていただきました。そこで、「詩吟を聞かせてほしい」と高校生が話をして吟じていただいたのですが、普段関わっている地域包括支援センターの職員の方も「初めて聞いた」と驚いていました。改めて、
▲過去の作品を高校生に見せる様子
学生ヒーローズへ参加されたきっかけを教えてください。
全国福祉高等学校長会からいただいたメールや、長野県の社会福祉協議会から教えていただいたことで知りました。応募した理由としては「選ばれたら東京行けるよ!」と背中を押したところ、生徒が自ら応募してくれました。
学生ヒーローズへ参加したことによって、得たことはありましたか?
高校生にとっては、やってきたことの振り返りになったことが大きかったのではないかと思います。そのほかにも、この受賞のこともきっかけの一つとなり、後輩たちが「活動をやってみたい」と思ってもらえたことも良かったですね。また、最近入学した複数の生徒が、福祉科を選んだ理由として、レンタル高校生の活動を挙げてくれたことも嬉しかったですね。
▲レンタル高校生を経験して4月から高齢者施設で働き始めた生徒は、高齢者一人ひとりのことをよく知ることができたことや、支援を継続することが大事ということを学んだと話したそう
今後の活動について、頑張っていきたいと思うことを教えてください!
レンタル高校生の活動を広げ、地域の人たちのつながりも深めていくような、次の活動にもつなげていけたらと思います。
去年の先輩が作ってきた素敵な取り組みなので、これからどんどん活動していって、自分たちらしさも出しながら高齢者の方の困りごとを解決していきたいと思います。それぞれの出来ることを活かして取り組みたいです。
昨年度の活動を通じて、若い世代の力を地域が必要としていることを確信できたので、この活動を広げていくことが、高齢者を支える力になるのではと思っています。今年は高校生だけでなく、大学生とも活動しながら、新たな発見を増やせればと思います。
また、卒業した生徒とも話していたのですが、ゆくゆくは福祉を学ぶ高校生だけでなく、携帯の地図アプリのようなもので高齢者の困りごとが見える化され、登下校の最中や放課後の時間にちょっとお手伝いできるシステムが構築できたらとも思っております。
▲教員と生徒の皆さん。インタビューをさせていただいた上田千曲高校の等々力先生と、松井さん・滝沢さん、ありがとうございました!
次の回は、FIOREI・デジリハJKです!
2024年度も、社会福祉学生ヒーローズの募集を予定しています。詳細は、社会福祉HERO‘SのWEBサイトをご覧ください(http://www.shafuku-heros.com/)
【文: HELPMAN JAPAN 写真: wel-bee、レンタル高校生(上田千曲高校)】