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2024.10.08 UP
「島に遊びに来て!」人口150人の島民と都会の学生をつなぎ、困りごとに取り組む!?(さぬき広島ボランティ愛ランド)/社会福祉学生ヒーローズに期待することとは?(全国社会福祉法人経営者協議会)
2024年2月に開催されたイベント「社会福祉HERO’S」。同年に新設された賞「社会福祉学生ヒーローズ賞」は、高校や大学、専門学校の団体やサークルで、創意工夫あふれる学生による福祉活動を表彰する賞です。(2024年度も実施予定です!)
受賞した5団体に、活動の詳細や社会福祉学生ヒーローズ(以下、学生ヒーローズ)に参加した理由などを3回に渡ってご紹介するこの企画。最終回である今回は、社会福祉HERO’Sの主催者の方にこのイベントへの想いもお聞きしました。
目次
1.# 福祉っぽくないかわいいデザイン # 10年前の取組を復活させた! # 福祉をみんなごとに(wel-bee)
2.# 高校生をレンタル!? # ちょっとした困りごとをお手伝い # 若者の力が与えるパワー!(レンタル高校生/上田千曲高校)
3.# デジタル旅行体験で涙 # 多世代カフェでつながる # 継続が居場所になる(FIOREI)
4.# デジタルアート #楽しくリハビリ # 高校生と専門学生がタッグを組む!(デジリハJK/陽明高校)
5.# 島暮らし # ボランティア # 島の高齢者と学生をつなぐ(さぬき広島ボランティ愛ランド)
6.# 学生ヒーローズ #今後の期待
# 島暮らし # ボランティア # 島の高齢者と学生をつなぐ
▲今回インタビューに答えていただいたのは、「さぬき広島ボランティ愛ランド」佐々原さん。離島と学生ボランティアを繋ぎ、島民生活のちょっとした困りごとに一緒に取り組む活動をしている
この取り組みをはじめたきっかけを教えてください!
2023年3月頃から離島の「さぬき広島」で島暮らしをはじめたことがきっかけです。小学校の頃からこの島と縁があったのですが、大学3年生の時に農山漁村の地域研究をしていたことや、ボランティアサークルのメンバーを連れてきたこともあり、4年生の時に移住を決断しました。
このような状況の中で、自分のことは自分でやる必要があるのですが、「電球を変えること」だったり「草刈り」だったりとちょっとした困りごとに取り組むことが大変、と島暮らしの中で耳にするようになりました。
はじめは交流も兼ねて自分一人で手伝っていたのですが、島の高齢者と学生をつなげてみたらどうだろうと思ったんです。学生の間でも、SDGsや地域貢献への関心が高まっていることも後押しになるのではないかと思いました。
島に来る大学生は、私がこれまでにお世話になった大学の先生に紹介いただきました。また、以前私が丸亀市社会福祉協議会のボランティアコーディネーターをしていたこともあり、高校との繋がりもあったため、高校生にも来ていただいてます。
▲島民の人と掃除をする様子
活動を通じてどんなことが生まれていますか?
島民の方々が「助かる」と感謝の気持ちを伝えてくれてくださることが支えになっています。学生からは、普段関わらないような世代や島民の方と関われること、島民の方の感謝の声によって地域貢献の実感が持てることが良い経験になっていると聞いていますね。
▲丸亀市の名物であるうどんを使い「流しうどん」を島民の方向けに実施する様子
この取り組みを通じたエピソードについて教えてください!
島に来て初めての大きな仕事が、尾上邸というお屋敷の草刈りでした。そのお屋敷の管理をしている協議会の会長から声を掛けていただいて、当初は私と会長、会のメンバーで草刈りをやっていたのですが、敷地も大きく、建物の掃除や全般整備もあってとても大変でした。そこで学生を呼んで手伝ってもらって整備を進めることができたんです。
いつも作業が終わった後
ボランティア活動があるからこそ生まれる、プラスの交流時間が心地よいです。
▲作業後にみんなで食べるカレーがおいしい
取り組み後、普段手を付けられてないお屋敷が綺麗になった様子を見た島民の間で口コミが広がり、お声がけいただくことも増えました。また、この成功体験から、学生を呼んだら各家庭の困りごとも一緒に解決できるのではないかと思い、お寺の草刈り、島民の方の納屋の掃除等、
▲お寺の掃除後に、島民の方とおつかれ会をする様子
どのようにして学生を島に呼ぶのですか?
信号もない、お店も一軒もない、広島の地元民も知らない人もいるくらいの場所なのですが、都会で育った子からすると珍しいんですよね。海も山もある大自然の中で、温かい島民の方もいる。島の魅力を感じながら、海で泳いでBBQをして、「ついでに」草刈りするくらいの気軽さで楽しさをメインに伝えました。あくまでボランティアはサブ要素だとお伝えることで、様々な学部の学生が来てくれていますね。
▲作業後にみんなで食べるBBQ
▲ボランティアを通じて都会ではできない体験
学生ヒーローズ賞に応募したきっかけと、受賞したことによる反響は何かありましたか?
香川県の社協さんから声を掛けてもらったことがきっかけです。その時は、
とはいえ、応募だけでもしてみようとチャレンジしました。その結果、学生生活の最後の年に地元に戻って活動したことが、大きな形となって得られたので良かったですね。そのほかにも、全国には様々な学生団体が活躍していることも知れましたし、受賞した他4団体の方とのつながりも作れてよかったです。
この賞は島の方と一緒に取ったものだと思っているので、トロフィーは島の待合室に飾ったのですが、すごく喜んでくれましたね。他にも、ちょうど大学の卒業も重なったので、働いているデイサービスの皆さんからは横断幕で「卒業おめでとう」とお祝いしてもいただき、その様子を島の広報誌にまで載せてくれましたね。
今後の目標を教えてください!
全国に有人の離島が1300くらいあるのですが、それぞれの島で私がいない状態でも、学生と島の人が同じように活動できるような仕組みができたら良いなと思います。もちろん、今の活動も継続して頑張っていきたいです!
▲佐々原さん、インタビューさせていただきありがとうございました!
# 学生ヒーローズ #今後の期待
最後に、主催である全国社会福祉法人経営者協議会の大﨑さんにこのイベントへの想いや今後の期待をお伺いします。学生ヒーローズ受賞団体の取組について、それぞれどのようにお感じになられたかを教えてください!
どの取り組みにも共通していることとして、3つあります。
・対地域、対個人に喜んでいただける取組であること
・支援した側も支援する側にとっても相互にプラスの作用が働いていること
・それらが、ウェルビーイングにつながっていること
「さぬき広島ボランティ愛ランド」と「レンタル高校生」に共通しているのが、地域と個人の困りごとに向き合っていること。地域や個人ではどうにもならないことをご支援・解決していることですね。
地域の「問題」が解決されて、個人の「生活」が良くなることに加えて、感謝の力でお互いの「心」もいいコンディションになるような相乗効果を、本取組から感じました。支援をしてあげる、してもらうという考え方ではなく、お互いに幸せになり、皆にとってのウェルビーイングや生きがいにつながると感じられる取組です。「FIOREI」や「デジリハ高校生」は、テクノロジーを通じて、このお互いのウェルビーイングを高めていることが共通していると感じます。さらに、「FIOREI」は社会福祉法人の力も活かされた取組で、今後全国にも広がりうる理想的なものだと感じます。拠点となる社会福祉法人はたくさんあるので、各地域の学生さんの発想や力と、社会福祉法人の力が掛け合わさることで、ウェルビーイングがますます広がっていくことが想像されます。
そして「wel-bee」はこれらの取組のつなぎ手となり、多くの方に興味をもっていただき、取組の賛同者を広げる役割を果たす。そして新たなウェルビーイングを生み出しているというように感じています。
社会福祉学生ヒーローズ賞に応募しようか迷っている方に対して、背中を押すようなメッセージをお願いします。
受賞をされた皆さんからは、この社会福祉学生ヒーローズ賞をきっかけに、「これまでやってきたことに手ごたえを感じられた、確信を感じた」「間違いじゃなかったと実感できた」とお聞きしました。加えて、賛同者や興味を持ってくれる人が増えたとも話されていましたね。
恐らく今何かに取り組んでいる方の中にも、これまで自分でやってきたことに対して「これでいいのかな」と不安になると思うことがあると思います。そこで、この学生ヒーローズ賞が、取組をさらに進めていくことの意義を実感する一つのきっかけとなり、活動に対する熱量を高める後押しとなればと思っています。2次審査に進むだけでも、そのような根源力になると思いますので、活用していただければと思います。
また、受賞された団体の中では、日頃の活動を越えて仲間ができ、横のつながりができるとも話されていたので、そのような同志を見つけるきっかけとしても活用いただければと思います。
本イベントを通じて期待している反響、社会への影響を教えてください!
社会福祉HERO’S(*)は実際に福祉の現場で活躍する方々に向けたもので、学生ヒーローズ賞は、まだ仕事に就く前の学生に向けたものです。
(*)社会福祉HERO’Sは、社会福祉の現場で様々な実践に挑戦している若手職員のプレゼンを通して、福祉の仕事の魅力を伝えることを目的に、2018年3月に創設。全国から選ばれた職員達が「社会福祉ヒーローズ」として、日ごろの実践や仕事への想いを熱くプレゼン。最も社会福祉をチェンジする情熱にあふれるプレゼンを行った登壇者を学生等の投票で選び、「BEST HERO賞」を贈呈している。
イメージとしては、ホップ①・ステップ②・ジャンプ③というような成長ステージの道筋ができればと思っています。
始めのホップ①では、小学生や中学生が学生ヒーローズを見て、少し上の年代で身近に感じられるお姉さんお兄さんが「こんな取組をしているんだ!」と知ってもらい、ちょっとしたアクションにつながるきっかけに。ステップ②では、同年代の高校生・大学生の取組を見て、「自分もやってみよう」と思っていただく。そして、高校生や大学生、その上の年代の方が社会福祉HERO’Sでの取組を見て、社会にはこんな活躍をしている人がいるんだと知りジャンプ③(何かしらのアクション)につなげていただくというようなイメージです。
すぐにはアクションにつながらなくとも、心や記憶に残り、いつか何かのきっかけにつながり、芽が出て花を咲かせられればと思います。
▲大﨑様、インタビューに答えていただきありがとうございました!
2024年度も、社会福祉学生ヒーローズの募集を予定しています。詳細は、社会福祉HERO‘SのWEBサイトをご覧ください(http://www.shafuku-heros.com/)
【文: HELPMAN JAPAN 写真: さぬき広島ボランティ愛ランド・全国社会福祉法人経営者協議会 提供】