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特集記事

2022.05.19 UP

神尾楓珠さんも登場!若手や福祉を知らない方もワクワクできるイベント「社会福祉HERO'S TOKYO」

2022年3月15日(火)、「社会福祉の仕事は、クリエイティブで面白い」をキャッチコピーとしたイベント「社会福祉HERO'S TOKYO」が開催された。このイベントは、社会福祉の現場で様々な実践に挑戦している若手職員の声を伝えることを目的に、2018年3月に創設。2021年度で4回目の開催となった。このイベントでは、全国から選ばれた職員達が「社会福祉ヒーローズ」として、日ごろの実践や仕事への想いを熱くプレゼン。最も社会福祉をチェンジする情熱にあふれるプレゼンを行った登壇者に「BEST HERO賞」を授与している。今回は、イベントを企画した全国社会福祉法人経営者協議会 PR戦略特命チーム リーダーの大﨑 雅子様に、詳しいお話を伺った。自法人の魅力発信や採用という観点でも参考にしていただきたい。

12万回超もの視聴があった、福祉の“ヒーロー”を紹介するイベントとは

――本イベントを開催されるきっかけや目的、対象者について教えてください!

「社会福祉HERO’S TOKYO」は2018年3月に創設し、今年が4回目の開催。このイベントの運営を行う「ひとりひとりが社会福祉HERO’S」は、社会福祉の世界をもっとオープンにもっと身近にしたいという目的から、全国の社会福祉法人のスタッフが気軽に発信できるコミュニティサイトとして作られました。活動の発端は約7年前。全国社会福祉法人経営者協議会が、全国18歳以上79歳以下の男女1万人に対してアンケートを取り、福祉に対する認知度を調査したことから始まります。アンケート結果を見ると、約5~6割の方が、福祉業界に対して「よくわからない」「ふわっとした」認識であることがわかりました。そこで、福祉業界や社会福祉法人が担っている役割を正しく理解していただくために、福祉業界や社会福祉法人に関するポジティブな情報を発信しようとWEBサイトを始めました。このWEBサイトでは、社会福祉法人で働く職員が利用者の人生や地域社会を支えていくヒーローでありたいという想いから「HERO‘S」と名づけ、社会福祉のリアルな“今”を伝えています。そして、“ひとりひとりがヒーロー”というコンセプトをもとに、外部のライターがインタビューをするのではなく、福祉施設の現場の職員が自法人の施設を取材するという形式をとっています。

▲「ひとりひとりが社会福祉HERO’S」のコミュニティサイト(2022年3月時点)

 

WEBサイトの運営に加え、社会福祉の現場で様々な実践に挑戦している若手職員の声や福祉の仕事、その魅力を伝えるイベントもスタートさせました。それが「社会福祉HERO’S TOKYO」です。このイベントでは、「現場で挑戦を続ける職員の姿や言葉を通じて、福祉をポジティブに伝えること」「福祉の仕事に興味を持つ人を増やすこと」を目指しています。

ターゲットとする方は、「福祉についてよく知らない人」や「若者」など。福祉をよく知らない人に知っていただくことで、福祉業界に興味を持つ人を増やし、ひいては業界の人材不足解消につなげたい。そして、福祉というと中高年の方々が働くイメージがある中で、「若者が福祉業界でキラキラと働いている方がいること」、「大学などで福祉学部以外の学部からの就職や、若くして一般企業から転職してくる方もいること」。その情報を通じて、若い方々に福祉を身近に感じて、就職先の選択肢に入れてほしいという狙いがあります。
現実には、2025年に全国約38万人もの人材が介護の現場で不足すると言われているほか、採用活動に苦戦する法人も沢山あります。そのため、もっとリアルに私たちの役割を知っていただきたい。そして未来の福祉を担う若者に対し、仕事の魅力や目標を発信し、福祉の業界で働くことへの興味関心を高めたいという想いで、イベントを実施しました。

介護を知らない人や若者に刺さるコンテンツとするために、とにかく“本物である”ことにこだわりました。福祉業界の知り合いだけで作る内輪感のあるイベントではなく、一般の方にも心に響く内容にしなければならない。そのためには、イベントの運営のほか、コンテンツやプレゼンテーション等、外部の広報・イベントのプロにも協力いただきながら、質を高めることも意識しました。

 

――具体的なイベントの内容について、お聞かせください!

このイベントは、「介護」「保育」「障がい者支援」などの福祉現場で活躍する若手職員が、日ごろの実践や仕事への想いを熱くプレゼンテーションを行うというもの。応募資格は、主に全国の社会福祉法人で働く20~30代の若手職員。2021年度のイベント「社会福祉HERO‘S TOKYO 2021」では、3次選考を通じて、ファイナリストとして、6名まで絞られました。
そして、このファイナリストのうち、最も福祉をチェンジする情熱にあふれているプレゼンテーションをされた人1名に「BEST HERO賞」が授与されます。

審査基準は、「社会福祉の世界を変えたい」「社会福祉の魅力をたくさんの人たちに伝えたい」という熱い思いを持っているか。また実際の社会福祉の現場で、その経験や実績があるか、などです。
イベントの当日までに、ファイナリストはスピーチコンサルを受けるほか、プレゼンの直前まで、多くの人に伝わるように何度も練習します。イベントを通じて、それぞれの成長の様子が垣間見られます。

2021年度に最終審査に残ったファイナリストは、キッチンカーを取り入れて地域展開する障がい者の就労支援、YouTube活用による啓発活動など、様々な実践に挑戦している方々。そして、BEST HERO賞を受賞したのは「eスポーツの導入により障がい者のケア向上と社会との接点づくり」に取り組む、社会福祉法人北杜の若狭 利伸さんでした。

▲YouTube動画や等身大パネルでは、ファイナリストそれぞれがヒーローっぽいポーズを決め、それぞれの個性、想いをアピールした。

 

ファイナリストに選ばれた方々やその方が所属する施設には、外部メディアから多くの取材を受けます。地方メディアからの取材もあるため、福祉業界内に留まらず、地域の方にも知ってもらう機会や地域の中の講演会等に呼ばれる機会にもつながっているそう。さらに、良い職場であることが求職者にも伝わり、採用活動においても応募者が増えているという声もお聞きしています。

イベントの進行も担うゲストは、著名人の方。その狙いとしては、様々なメディアに著名人の方への取材を通じて、イベント自体も取り扱っていただくことや、福祉に興味のない方にも観ていただくことが目的です。
出演依頼をするにあたっては、福祉に何かしらご縁や親和性のある著名人をお呼びするようにしています。2021年度については、若者からも人気の俳優、神尾楓珠さんがスペシャルゲストとして参加、「福祉の仕事の醍醐味とは」や「福祉の仕事は職種が豊富!」等をテーマにトークを行い、イベントを盛り上げました。

▲ご家族も福祉系の仕事をする神尾楓珠さん。イベントの終盤には「福祉への興味がない方も、興味が持てるようなプレゼンだった。福祉という仕事がどんどん広がっていくことを期待している」という言葉を語った。

 

――反響や今後の方向性についても教えてください!

より多くの方の目に触れるよう、YouTubeによるLIVE配信とアーカイブ配信を行い、当日視聴約1,250回、事後12万回超(2022・3現在)の視聴を得ています。また、イベントを視聴した学生からは「福祉の仕事はやりがいが大きい仕事と感じた」「施設の中だけではなく、地域とのつながりにも影響を与えている取組が多いのが印象的だった」という声をいただきました。

この数年、コロナ禍という特有の環境下から、社会の認識が変わってきたことを感じています。例えば、介護や保育などに従事する「エッセンシャルワーカー」が注目されたこと、環境への意識や働き方が見直される中で、国連が2030年までに達成を目指す「SDGs」への意識もさらに高まりがみられました。私たちは以前から「SDGs」に取り組み「エッセンシャルワーカー」が活躍する業界として、社会課題に向き合っている存在である、そんな私たちの役割を改めて発信していき、業界への注目を高めていきたいと思っています。

そのためにも、今後も本イベントを軸に、さまざまなYouTubeチャンネルの開設、SNSの活用による発信、内部広報の強化等のPR事業を行いながら、ポジティブな情報を発信していきたいです。
また、イベントに限らず福祉業界のイメージアップには、正しいポジティブな発信をするだけではなく、業界として改善しなければならないことは改善していく必要があると考えています。その両輪で動くことを念頭に入れて、今後も活動を進めていきたいと思っております。

※イベントは、どなたでもオンラインでご視聴可能です。動画配信システム「YouTube Live」にて、ご視聴いただけます。
【URL】https://youtu.be/HPfzWfh5cf4 (アーカイブ)

 

――大﨑様、ご紹介いただきありがとうございました。

若年層や未経験層へのアピールを行う上で、次の視点は重要である。「正しいリアルな情報を発信すること」「若手が活躍する姿を見せること」「専門的なことよりも、まずは福祉の仕事が面白いと思ってもらえることを伝えること」「発信する本人が楽しんでいること」。
このイベントでは、それらの視点を学ぶこともでき、魅力発信を行う上でのヒントも得ることができるだろう。もちろん、採用活動にも生かせる取り組みである。

【文: 全国社会福祉法人経営者協議会,HELPMAN JAPAN 写真: 全国社会福祉法人経営者協議会】

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