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介護業界を目指す方へ

2022.03.31 UP

介護サービスの仕事に対する「5つの誤解」とは?~介護サービスの仕事を知ろう!③~ 資格が必要?離職率が高い?

「就職/転職活動の選択肢の幅を拡げてみたい」
「介護職の求人が増えていると聞いたけど、どんな仕事か分からない」
「興味はあるけど、自分に出来るのか不安」

2021年時点で世界最高の高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)の日本において(*1)、介護サービスに対する需要は高まり続けています。一方で、介護サービスの仕事は誰にとっても日常で接する機会が多い仕事とは言えず、仕事内容や働き方のイメージを持ちづらい方も多いのではないでしょうか。

介護の仕事をひとりでも多くの人に知って欲しい。そんな想いから、「介護サービスの仕事を知ろう!」というテーマで、5回に分けて解説します。

介護サービスの仕事を知ろう!全5回

1.介護とは「お世話」ではなく「自立支援」?
2.仕事内容と身につくスキルとは?
3.仕事に対する「5つの誤解」とは?
4.サービス毎に異なる働き方とは?
5.介護サービスの仕事の未来とは?

第3回は、介護サービスの仕事に対してよくある「5つの誤解」を、統計データ等をもとに解きほぐしていきます。

誤解#1 経験・資格が必要?

介護サービスの仕事をするためには、経験や資格が必要と思っている方は多いかもしれません。しかし、公益財団法人介護労働安定センター「令和2年度介護労働実態調査」によると、介護サービスの仕事をしている5人に3人(62.1%)の前職は、介護以外のお仕事でした(*2)。資格取得を支援する制度や、研修制度を充実させる法人も増えています。介護サービスの求人を検討する際は、未経験から入社した場合にどのような研修や支援制度があるのかを確認してみましょう。

誤解#2 給与が低いまま上がらない?

介護サービス関連業種の給与水準は、全体としては決して高いとは言えません。厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに2020年時点での業種別の年収を算出すると、産業計の年収が4,872,900円に対して介護サービス関連業種の年収は3,865,200円となります(*3)。しかし、利用者の介護に従事する職種から経験を積み、資格取得や役割の拡大を通じた給与アップは可能です(*4)。具体的なキャリアパスや給与制度は法人毎に異なります。介護サービスの求人を検討する際は、入社後のキャリアパスを確認してみましょう。

誤解#3 残業が多い?

介護サービスに限らず、サービス業=長時間労働というイメージをお持ちの方は多いかもしれません。しかし、公益財団法人介護労働安定センター「令和2年度介護労働実態調査」によると、介護サービス業に従事する60%の方が、1週間で残業なく働いているという結果がでています(*5)。1週間の平均残業時間は1.5時間で、4週間=1ヵ月とすると6時間/月になりますが、これは産業全体の平均10時間/月よりも短く(*6)、介護サービス業は他業種よりも残業が少ないと言えます。仕事以外のプライベートの時間を大切にした働き方も可能なのです。介護サービスの求人を検討する際は、法人の平均残業時間や、業務効率化の工夫について確認してみましょう。

 

誤解#4 体力勝負の仕事?

介護サービス=体力勝負というイメージは、介護サービスの仕事内容を理解することでイメージが変わる方が多いのではないでしょうか?介護サービスは「お世話」ではなく「自立支援」であり(第1回を参照)、自立支援を目的とした「介護過程の展開」が仕事の内容です(第2回を参照)。特別養護老人ホームというサービスの1日の業務内容を1分単位で計測した結果、利用者の介助業務は全体の半分程度(52.3%)で、事務・施設運営(41.5%)や、医療・リハビリ補助(6.1%)が残りの半分を占めていたという結果もあります(*7)。介助においては適切な動作を身に着けることによって、自身と利用者双方にとって負担少なく介助することが可能です。加えて、ICTやロボットの導入を進めている法人も増えています。誤解#1とも関連しますが、介護サービスの求人を検討する際は、1日の業務内容や入社後の研修制度、ICTやロボットの導入状況について確認してみましょう。

誤解#5 離職率が高い?

介護サービス業の離職率が産業全体と比べて高いというイメージは、過去においては事実であったと言えますが、現在においては誤解です。介護サービス業と産業全体の離職率推移を見ると、介護サービス業の離職率が年を追うごとに低下し、2019年には産業全体の離職率を下回っていることが分かります(*8)。また、介護サービス業の離職率を事業所単位(サービスの拠点単位)で離職率階級別に見ると、離職率10%未満の事業所が46.6%を占めています(*9)。一方で、離職率30%以上という事業所も18.1%存在しており、自分にとって働きやすい職場選びが重要であるということも言えます。

今回のまとめ

「介護サービスの仕事を知ろう!」第3回は、介護サービスの仕事に対してよくある「5つの誤解」を統計データ等をもとに解きほぐしました。誤解は、知らないことに対するイメージや先入観から生まれるものだとすると、イメージや先入観でキャリアの選択肢を狭めてしまうのはもったいないかもしれません。また、統計データはあくまで介護サービス業という大きな単位を表現しているに過ぎないという点も重要です。統計データをもとに、介護サービス業の具体的な求人情報を検討してみると、より納得感をもって職場選びが進められるかもしれません。次回は、自身にあった職場選びを行う上で重要になる、介護サービス毎に異なる働き方について紹介します。

【出典】
*1 内閣府「令和3(2021)年版高齢者白書」
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/index-w.html

*2 公益財団法人介護労働安定センター「令和2年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書」
http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2021r01_chousa_cw_kekka.pdf

*3 厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html
介護サービス関連業種は、産業分類「P85 社会保険・社会福祉・介護事業」の結果を参照。月給は「きまって支給する現金給与額」、賞与は「年間賞与その他特別給与額」を参照し、年収は(「きまって支給する現金給与額」×12)+「年間賞与その他特別給与額」にて算出。

*4 公益財団法人介護労働安定センター「令和2年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査結果報告書」
http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2021r01_chousa_jigyousho_kekka.pdf

*5 公益財団法人介護労働安定センター「令和2年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書」
http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2021r01_chousa_cw_kekka.pdf

*6 厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

*7 みずほ情報総研株式会社「地域包括ケアシステムにおける特別養護老人ホームの実態・役割に関する調査研究事業」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000136601.pdf

*8 公益財団法人介護労働安定センターの「介護労働実態調査」にて、介護業界の離職率の結果が公表されている2004年以降の推移。産業全体の離職率は、各年の厚生労働省「雇用動向調査」の結果を参照。

*9 公益財団法人介護労働安定センター「令和2年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査結果報告書」
http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2021r01_chousa_jigyousho_kekka.pdf

【文: HELPMAN JAPAN】

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