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ヘルプマン

2022.10.28 UP

介護の仕事の魅力を描くために500名以上にアンケート調査!池田朱那さんが主演する「ケアニン」とのコラボ動画/全国老人福祉施設協議会

2022年6月3日(金)より、介護福祉士が主人公の映画『ケアニン』シリーズと全国老人福祉施設協議会がコラボレーションし製作したスピンオフショートムービー「ケアニンShort Films season2」が公開された。三原光尋が監督、企画・脚本・プロデュースは山国秀幸が務め、公益社団法人全国老人福祉施設協議会が製作した動画。本動画にあたる制作の狙いや秘話、動画に込める想いを公益社団法人全国老人福祉施設協議会介護人材対策委員会委員長太田二郎さんにお聞きした。

目次

映画「ケアニン」とコラボレーションをすることになった理由「介護業界における生産性向上」を伝えられたら
10万回を超える再生数の作品も。「ケアニンShort Films」とは?
500名以上へのアンケート調査を実施。「ケアニンShort Filmsシーズン2」とは
映画を題材にしたことによるメリットとは
今後は「コロナ渦におけるレジリエンス」について発信したい

 

介護職のキャリア別の魅力を深掘りし、言語化・映像化

――映画「ケアニン」とコラボレーションした理由をお教えください

映画「ケアニン」は、新人の介護福祉士が奮闘する姿を描く作品で、2017年に劇場公開されたのちに現在も自主上映で公開されています。1作目『ケアニン〜あなたでよかった〜』は、国内外で1,300回以上の上映会が開催されました。また、2020年には特別養護老人ホームが舞台の続編『ケアニン〜こころに咲く花〜』が公開。累計1,800回以上上映という大ヒット作品となり、各シリーズ合わせて、現在も全国各地で上映会が行われている状況です。本作品は、いくつもの介護施設や病院、介護・医療関連団体へ取材を通して作り上げた完全オリジナルストーリーで、そのリアルさや前向きに働く人々の姿を描いた内容が評判を呼んでいます。

この「ケアニン」の映画を見た私たちは、介護現場をリアルに伝えていると感じ、コラボレーションができたら介護現場のイメージアップにつなげられるのではないかと考えました。現在介護業界では、生産性向上を求められています。製造業のように、生産性の向上が数値で見てわかるのとは異なり、介護の生産性は目で見えにくい部分があり、定義する必要があると考えています。そして私たちは、介護現場の生産性は「介護職員が生き生きと働くこと」だと考えました。そのことを伝えていくにはどうしたら良いかと考えた結果、介護に関わったことのない方々に向けて「ケアニン」の動画を通じ、介護職員が働く姿を見ていただくことが良いのではないかと思い、現場をリアルに伝えるこの映画に期待しました。

また、介護職員にはプロ感が足りないといわれることがあります。それは介護現場の様子が世の中に知られていないが故だと思います。しかし「ケアニン」を観ると、介護の仕事はプロの仕事であり、介護の現場は経験値や知識、技術も求められるということが、映像を通じて感じることができました。「ケアニン」とコラボすることで、こういう仕事に就きたいと思ってもらえるのではないかと思いました。


――コラボ動画第一弾、「ケアニンShortFilms」についてお教えください! 

2021年、ショートフィルム「ケアニンShort Films」を製作しました。本動画は、全国老施協が2008年より実施している「介護作文・フォトコンテスト」の受賞作品のエピソードを盛り込み実話を基にしたもの。特別養護老人ホームが舞台の心温まるショートムービー全4作品です。受賞作品をテーマにした理由は、受賞された皆さんの作品にはリアリティが溢れており、観た方の共感を呼ぶものとして動画に使えるのではないかと思ったからです。作品として文字のままでも読み応えがあったものの、何とか映像にしたいと思いました。

この動画はYouTubeで無料公開をし、平均で1万回程度の再生がされ、中には10万回再生を超える作品もあり、ご好評をいただくことがでました。そのほかに、地域の研修会や県の老人福祉施設協議会の人材フェア、介護が学べる高校、愛知県ではハローワークでも上映いただきました。決して娯楽映画ではないので多くの人に見てもらうことを目的とはしておらず、それよりも志しのある方に見てもらいたいという思いもあり、動画を見たという声を踏まえてもその点は達成することができたのではないかと感じています。

「ケアニンShort Films」はこちらからご覧いただけます。

https://carenin-cinema.com/shortfilms/


――「ケアニンShort Filmsシーズン2」についてお教えください!
第一弾の評判がよかったことから制作しました。2022年の「ケアニンShort Filmsシーズン2」は、新人から施設長まで全国の介護職員の方々へのインタビューやアンケートから得た実話の情報を基に完成させたもの。介護の仕事の魅力を描く4つのストーリーです。新人介護職員が経験する初めての看取りを描いた「新人編」のほか、「リーダー編」「主任編」「施設長編」の4作品。介護現場の職員の成長過程を伝えること、そしてそれぞれの立場から見たケアの現場を伝えるような内容にしました。

制作にあたり、新人から施設長まで現職の介護職員約30名へのオンラインインタビューと、500名以上へのアンケート調査を実施しました。チームで協力し合いながらご利用者のために思いを実現させることや、新人が必ずぶつかる壁として、死と向き合うことなど様々な意見やエピソードをいただくことができました。

現場からの情報をもとに作品を作ったこともあり、経験値を積んだからこその気づきのほか、専門的な知識を入れた、リアルな介護現場を表すことができました。第一弾の動画と同様、特設サイトとYouTubeで無料公開をしています。

――動画制作にあたり、特に気を使われた点は何ですか?

2つあります。まず、まったく介護の現場を知らない方が介護現場を見たときに、どう感じるかを念頭に入れて制作しました。現状では、働く条件ばかりが目に見えてしまい、介護業界の場合は職員の処遇が悪いから働きたくない、となってしまいがちです。そこを給与以外の視点を伝えられる内容にしました。人の役に立てるからこそ生きがいになる、そこに気づいていただけるとありがたい。人を相手にする仕事だからこその困難や苦難や災難もあります。ただ、それを乗り越えた先にありがとうという言葉がある。条件面だけではない、仕事の意義を改めて考えさせられる内容になったのではないかと思います。

2つ目に気を付けたのは、ご利用者への接し方をどう表現するかです。サービスの質につながるのが介護の現場ですので、この表現が適当になってしまうと、介護のイメージを悪くしてしまう可能性があります。その一方で、動画にしてしまうと理想的な表現になりすぎてしまうので、言葉遣い、身だしなみ、接するときの態度には気を付けていただいたものの、理想的すぎる部分は現実とかけ離れてしまうので削りました。


――映画を題材にしたことによるメリットとしてどのようなことを感じていますか?
映画だからこそ、介護現場を客観的に見ることができると思っています。実際の介護現場は、もっとごたごたしています(笑) しかし、現場でも実際の緊急対応が終わった後は、チームで振り返りをしますが、そこで冷静に分析や対応について整理をします。それをタイムリーに見ることができるのは、映画のメリットでしょう。例えばシーズン2の「主任編」では、ご利用者が画びょうを飲んでしまう場面がありましたが、これも実際に起きた出来事。その場では「まさか飲んでないでしょう」という声もありつつ、現場は騒然としていました。実際に起きた出来事だからこそリアルでありつつも、その時にプロの目線ではどのように判断していたかを映画ではうまく表現ができると思っています。

このように、リアルな現場を表現することができたことから、介護の現場を知らない方だけではなく、今介護の仕事をしている方々にも見てほしいとも思っています。忙しい日常業務の中では、自分のケアを客観的に見ることができなくなります。我々は熱い心をもって冷静な頭でケアを行う必要がありますが、日々起こる出来事への対応に追われ、志しを見失ってしまう方もいらっしゃいます。この動画を観て、行き詰っているときの参考にしていただきたいです。


▲ケアニン特設サイト「ケアニンShort Filmsシーズン2」。動画はこちらからご覧いただけます( https://carenin-cinema.com/shortfilms/2/


――今後はどのような情報発信を検討されていますか?
次に動画を作るとしたら、「コロナ渦におけるレジリエンス」について取り上げて作りたいと思っています。コロナ渦という惨事の中で、各職種がどう乗り切ったのか。情報不足により判断が困難だった状況や、病院へ入院させてくれないという課題、陽性の方の介護による職員の感染リスク、職員本人やその家族の感染による職員の欠勤の多発など様々なことが起きました。一方で、このような状況下で介護業界の頑張りがあったからこそ、ご利用者や家族のたくさんの笑顔が生まれたほか、ICT化の流れが加速するなどの革新もありました。社会を支える重要な仕事であること、支援を必要とする方を助けるという介護職の誇りの上に支えられていることを動画というツールを通じて伝えていきたいです。

――太田さん、ご紹介いただきありがとうございました。
 
 
【視聴URLはこちら】
■「ケアニンShort Films season2」特設サイト

https://carenin-cinema.com/shortfilms/2/

■「ケアニンShort Films season2」本編

●episode1/初めての看取り(新人編)

介護の仕事を初めて2年目の未来。この仕事を続けるきっかけにもなった、大好きな利用者の康子さんが日に日に弱っていき・・・

https://youtu.be/gmEjpU2eXSQ

●episode2/願いを叶える(リーダー編)

別の施設に住む妻に会いたいというご利用者の願いを叶えるため、息子さんに相談をするが・・・

https://youtu.be/jPiXn2bpUuk

●episode3/ 人間の機能を知る(主任編)

職員が判断に困った時、的確なアドバイスをくれる主任。ある日、喉を詰まらせた様子のご利用者がいて・・・

https://youtu.be/W3QAzssmavs

●episode4/ 未来を作る仕事(施設長編)

新人の未来は、施設長が何の仕事をしているのかをよく知らない。先輩やご利用者からその秘密を教えてもらい・・・

https://youtu.be/1ExUVh0yTUQ

※本動画の上映会をご希望の方は、連絡先(03-5211-7700)へご連絡ください。

■「ケアニンShort Films season2」関係者プロフィール

主演:池田朱那(いけだ あかな)

2001年10月31日生まれ。群馬県出身。

近年の出演作に、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(19/河合勇人監督)、『彼女が好きなものは』(21/草野翔吾監督)、大河ドラマ『いだてん』(19/NHK)、「青天を衝け」(21/NHK)、よるドラ『ここは今から倫理です。』 (21/NHK) など多数。

監督:三原光尋

京都生まれ。大阪芸術大学在学中より映画制作をはじめる。1991年大阪市の若手芸術家を奨励する“さくやこの花賞”受賞。2005年「村の写真集」で第八回上海国際映画祭・最優秀作品賞&最優秀主演男優賞(藤竜也)をW受賞。主な映画監督作品は『村の写真集』(05)『しあわせのかおり』(08)『あしたになれば。』(15)『広告会社、男子寮のおかずくん 劇場版』(19)など。

企画・脚本・プロデュース:山国秀幸

1967年1月生まれ、大阪府和泉市出身。介護・医療・地域創生などの社会課題を題材としたエンターテインメント映画の企画・プロデュース、脚本を手掛けている。市民上映会での展開を前提に、人が人を支える社会づくりに貢献する映画製作「シネマソーシャル」を提唱。主な作品:『ケアニン~あなたでよかった~』(17/鈴木浩介監督)、『ピア~まちをつなぐもの~』(19/綾部真弥監督)、『ケアニン〜こころに咲く花〜』(20/鈴木浩介監督)、『天使のいる図書館』(17/ウエダアツシ監督)、『オレンジ・ランプ』(23公開予定/三原光尋監督)など。

映画「ケアニン」全作品、上映会・オンライン上映会を受付中。

<公式サイト>https://www.carenin-cinema.com/

【文: 全国老人福祉施設協議会,HELPMAN JAPAN 写真: 全国老人福祉施設協議会】

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