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2015.09.25 UP

介護男子の日常からのぞくクリエイティブな仕事風景

介護を通して日本の未来の
豊かな働き方が見えてくる

日本では介護の仕事に従事する人の約8割を女性が占めています。
しかし、介護はそもそも人間の存在に深く関わるテーマであり、感性と技術が必要な仕事。介護は性別を超えて誰にとっても等しく不可避な人生のテーマで、男性もこれからの介護の現場を担う重要な存在です。本書は、男性の介護職に焦点を当て、彼らの日常を写真で紹介。

同時に気鋭の論客が介護の現状をひもといています。その中には、経済やジェンダーの専門家によるものから、ファッションやアート・食の専門家によるものまで14組の介護にまつわる幅広い論考を収録。現場で働く介護男子20人のリアルな姿とともに、介護の「いま」と「未来」を知ることができます。(C)Yasuyuki Takagi

★★HELPMAN Point!★★

民俗学の研究職を経てデイサービス施設に勤務する六車由実さんは、同じ施設で働く介護男子タケシ君の奮闘ぶりを紹介。この施設では、利用者のこれまでをスタッフが聞き書きし、人生すごろくを作って発表する催しがあるのですが、大学時代に演劇を勉強したタケシ君は、歌が好きな利用者ケイコさんのために、ミュージカル風人生すごろくというアイデアを出し、試行錯誤しながら形にしていく様子がつづられています。

これを読んでも、介護職がいかに創造的な仕事かがうかがえますが、本書のまえがきにも、「介護は新しい科学であり、とてもクリエイティブな仕事」とあります。実際に掲載された20人の介護男子の働きぶりを見ると、その様子は十人十色。利用者に合わせた自分なりの介護をさぐっているのが分かります。介護男子のグラビアの中に、タケシ君の写真は載っていませんが、どんなふうにがんばっていたかを想像してみると、わくわくしてきます。

『介護男子スタディーズ』によるプロジェクトは始まったばかり。パート2が刊行されることがあれば、そこに掲載されるのは、この本を手に取るあなたかもしれません。(C)Yasuyuki Takagi


★書籍『介護男子スタディーズ』
価格:2,000円+税

【企画】介護男子スタディーズプロジェクト 【制作】株式会社アマナ 【写真】高木康行 【発売日】2015年9月1日 【ISBN】978-4-9908520-0-9 【発行】介護男子スタディーズプロジェクト

目次
[介護を考える1]介護のいま
▶総論:みんなの介護学――職人的専門職とローカルな創造性/広井良典
▶ジェンダー:男性介護職の可能性/山根純佳
▶グローバル:持続可能な「私たちの」まちづくり――オランダを手がかりに/堀田聰子
▶地方・若者:「やりがい」志向の若者たち/阿部真大
▶介護民俗学:「聞き書き」で介護はもっと面白い――タケシ君の「人生すごろく」奮闘記/六車由実
▶経済:贈与返礼としての介護/平川克美
▶恋愛・セックス:障害者の恋愛事情から考える、介護する側――介護される側の境界線/佐々木誠
▶コミュニケーション:柔軟であること、丁寧であること/安藤桃子
[介護を考える2]これからの介護
▶テクノロジー:孤独を感じることのない未来を目指して/吉藤健太朗
▶アート:介護の日常から生まれるアート/折元立身
▶ファッション:着る人が主体になる服/森永邦彦
▶建築:建築におけるケアの思想/藤村龍至×家成俊勝
▶美術解剖学:介護する体と心――二人称のまなざし/布施英利
▶食:「食の記憶」という人間の尊厳/細川亜衣
介護の“リアル”を読み解くためのキーワード20
介護男子スタディーズプロジェクト参画法人一覧

【文: 岡本のぞみ(verb)】

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