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2015.09.17 UP
いま、認知症の人が安心して生活できる街づくりを推進する自治体が各地に増えています。
その先駆けといえるのが、福岡県大牟田市です。同市では“認知症の人を誰もが支え合う地域”を目指して、「認知症コーディネーター」という専門職の育成を2003年からスタート。
この修了生らが中心となり、認知症の早期発見を目的とした「もの忘れ予防・相談健診」の実施や、小中学生を対象にした認知症への理解を深める教室の開講など、さまざまな取り組みを行っています。
中でも特徴的なのが、認知症の人が行方不明になったという想定で、地域一丸となって行方不明者を捜す「認知症ネットワーク模擬訓練(仮)」。
これは、警察をはじめ、消防、郵便局、金融機関、公民館、商店、病院、周辺自治体なども連携してつくられた「高齢者等SOSネットワーク」を活用して、行方不明の通報から各機関への連絡、捜索、発見・保護までの流れを訓練し、地域で見守る意識を醸成したり、いざというときに実働できる態勢を整えるというもの。
11年前に始まった訓練は2,000人以上の市民が参加する大規模なものとなり、いまでは大牟田市をモデルに訓練や街づくりを進める自治体が増えているといいます。
こうした取り組みは、行政や介護職などに限らず、地域住民一人ひとりが自分に身近なこととして主体的に動いたからこそ形になっているもの。いまはまだ何も始まっていない地域でも、さまざまな職種、そして世代が少し意識を変えるだけで、きっと実現できるはずです!
【文: 成田敏史(verb) イラスト: 株式会社コットンズ】