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2015.08.20 UP
アメリカでは今夏よりGoogle社が公道での実験走行を開始し、日本でも自動車メーカー6社と部品メーカーが共同で技術開発を行うことを発表するなど、いよいよ実用化が見えてきた自動運転車。自分でハンドルを握る必要がない車の登場となれば、その最大の恩恵を受けるのが高齢者なのではないでしょうか。
と、言うのも、ここ数年、彼ら高齢ドライバーによる運転免許証の自主返納が全国各地で増えているのをご存知ですか? それも、長野県ではこの10年ほどで約20倍(※1)、熊本県でも約12倍(※2)などと大幅な増加。
2012年の道路交通法施行規則の改正により、返納者に発行される「運転経歴証明書」が金融機関などでの本人確認書類として生涯使用できることが決まったことも自主返納を後押ししました。法改正の目的は身体・運動能力の低下が引き起こす事故の防止であって、それは当然のこと。
ただ、やはり自動車に乗れないとなれば、高齢者の行動範囲は大幅に狭まってしまいます。
すでに「運転経歴証明書」を提示すればバスやタクシーが割引されるなどさまざまな対策がとられているのですが、自由度高く外出できる自動車の魅力は大きいもの。しかもそれが自動運転車となれば、外出の機会が増加するのは間違いないはずです。近所に住む高齢者同士の「相乗り」外出が一般化すれば、社会的孤独の解消にもつながるでしょう。
もちろん、実用化までには技術的課題から法律の整備まで解決すべき事案は山積みです。それでも、高齢者の「生活の足」をがらりと変える、未来の車の完成はやはり待ち遠しいもの。今後も、その最新ニュースに注目です!
※1 中日新聞 2015年5月30日「免許返納に悩む高齢者 認知症運転で事故相次ぐ/長野」
※2 毎日新聞 2015年4月18日「免許返納:65歳以上、昨年1995人 10年間で12倍 事故増、特典など背景に/熊本」
【文: 高木沙織(verb) イラスト: 株式会社コットンズ】