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2015.07.02 UP
475億円―これは、75歳以上に処方された薬の中で、“飲み残し”や“飲み忘れ”により、服用されなかった薬剤費の年総額の推計値です(※)。
そもそも薬は患者の病状などの改善のために処方されるものですが、こうした残薬問題は、医療機関の連携が不十分なこと、患者の薬に対する理解不足など、医療従事者、患者の双方に課題があるといわれています。
薬の飲み残しや飲み忘れはどんな世代にも共通する事柄とはいえ、特に相談相手がいない一人暮らしの高齢者は、本人だけでの薬の管理が難しいという問題があります。それが認知症の高齢者になると、事態はより悪化してしまうと考えられているんです。
そんな中、残薬問題の解決に向けたさまざまな取り組みが始まっています。
例えば、新潟県のある調剤薬局では、在宅高齢者を日頃から見守る地域の介護士と薬剤師が協力し、高齢者の服薬状況や薬の管理法を共有することで、残薬を減らす取り組みを行っているのだそう。
また、介護ロボットの企画・販売を行うケアボットは、薬をセットしておくと、時間帯ごとに音声と画面表示で薬の服用をお知らせし、服用履歴まで記憶してくれる服薬管理・支援ロボットの個人向け販売をスタートしました。
適切な服薬ができれば、薬剤費=医療費の削減につながるだけでなく、間違った薬の服用による症状の悪化の防止など、患者さんの安全も守れるようになるはず。地域での連携、そしてテクノロジーの進歩による服薬支援の拡大に期待です!
※ 平成19年度老人保健事業推進費等補助金「後期高齢者の服薬における問題と薬剤師の在宅患者訪問薬剤管理指導ならびに居宅療養管理指導の効果に関する調査研究 報告書」より
【文: 成田敏史(verb) イラスト: 株式会社コットンズ】