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2018.05.14 UP

かっこいいユニフォームで介護業界に新風を 「働く人が誇りを持てる」「介護のイメージアップにつながる」制服が誕生!

新たなユニフォームを作り、介護業界のイメージを変えていく——。素材の開発から製品企画・生産、販売・物流まで手掛ける三菱商事ファッション株式会社が取り組むプロジェクトだ。デザイン性と機能性に優れたユニフォームを作るため、二人のスター介護福祉士、杉本浩司さんと上条百里奈さんも参画。介護の現場で活躍を続けながら、講演活動などを通して介護業界を盛り上げてきた二人のさまざまな意見や視点をもとに、半年以上のやりとりを続けた後、ついにユニフォームが完成した。介護業界を変える「かっこいいユニフォーム」に込められた思いについてお話を伺った。

看護師の白衣のようなイメージで
着ている人が誇りを持って働ける制服を

三菱商事ファッションがこのプロジェクトに取り組んだ背景には、2つの思いがあったという。「着ている人が誇りを持てるような制服を作ることで、介護業界で“働く人”を応援したい」。そして、「看護師を象徴する白衣のように、制服の力で、介護業界全体をバックアップしていきたい」ということ。デザイン性と機能性を両立させるため、介護現場のことを知り尽くし、モデルとしても活躍する二人のスター介護福祉士に協力を仰いだという。

1人目は、介護福祉施設「ウエルガーデン伊興園」の施設長を務めた経験を持ち、自立支援介護の普及のために全国の介護施設や大学で講演活動を行っている杉本さん。モデル出身であり、認定介護福祉士の人物モデルとして業界から注目を集める存在だ。

「介護業界に新しい風を吹かせる一大プロジェクトだと感じて、すごくワクワクしました。以前、ユニフォームのカタログモデルを務めた際、Facebookに画像を掲載したら『うちの施設にも導入したい』という反響があり、介護施設としてもすてきなユニフォームを導入したいという思いがあると知りました。自分がこのプロジェクトに携わることで、業界をよりよくするきっかけを作れたらと思いましたね」(杉本さん)

一方、モデルと介護福祉士の活動を続けながらテレビ、ラジオ、講演会で介護の魅力を発信している上条さんは、「胸を張って介護福祉士だといえるようなイメージを作りたかった」と話す。

「私は、中学生のころから介護ボランティアを始め、14年以上、介護の現場に携わってきました。大きなやりがいを実感しながらも、人から『何の仕事をしているの?』と聞かれると、答えたくないと思っている自分がいたんです。看護も介護も同じように胸を張るべき仕事なのに、世間は介護にいいイメージを持ってくれない。私がモデルとしての活動をスタートした理由は、そんな状況を変えたいと思ったからです。なので、新しいユニフォームづくりはまさに自分の思いと重なり、介護業界のイメージを『かっこいいもの』に変えていけるチャンスだと思いました」(上条さん)

▲ユニフォームのデザイン画。二人の要望を取り入れ、半年以上もやりとりを重ねていった

着ているだけでモチベーションが上がり、
介護が人気職になるようなデザインを目指す

ユニフォームのデザインや制作は、多様な業界のユニフォーム制作を手掛けてきたハイドサイン株式会社の吉井デザイナーが担当。まず、杉本さんから出たのは、「スタイルがよく見えて、気持ちが引き締まるようなおしゃれなデザインが大事」という意見だ。

「既存のユニフォームは、おしゃれなデザインが少ないと感じます。手入れがしやすく、シワにもなりにくいポロシャツを採用する施設も多いですが、例えば中学生が職場体験で施設に来たときに、憧れを抱いてもらえるようなスタイルではないなと。介護の現場でジャケットを着用する人はあまりいませんが、誰しもきちんとしたスーツにネクタイをすると背筋が伸びたりするものです。それに、僕がスーツに派手なネクタイをして施設に行くと、明るい気持ちになると喜んでくれるご入居者さんも多いですから。遊び心も取り入れ、着ているだけで凛とした気持ちになれるデザインを期待したいですね」(杉本さん)

一方、上条さんは、医療職の制服が医療従事者側と患者、双方の衛生面を考えて「白」がメインとされているように、介護職の制服も着る側はもちろん、介護される側の立場を考えることも大事だと話す。

「医療業界でも介護業界でも、かっちりしすぎるのは威圧感があるので好ましくないといわれています。また、目がチカチカするような柄のものもNGですね。とはいえ、無難なだけでは、『あの制服を着てみたい』という気持ちにはなりません。パイロットやCAのように、その制服を着ると、誰もがカッコよく、すてきに見えることで、職業そのものが人気となっていくような、そんなものにできたらいいなと」(上条さん)

▲施設のユニフォームを一から作った経験もある杉本さん。「スタッフが大喜びして写真を撮り合ってくれた。ユニフォーム次第でモチベーションも上がるし、誇りを醸成するためにもファッション性は大事」と話す

▲「医療業界とはまた違う、オリジナリティあるものを作りたかった。100%の正解もゴールもない、その先を求めていく介護の仕事に誇りを感じてほしい」と語る上条さん

介護の現場で働く視点をもとに、
機能面も妥協しないものにしたい

デザインを進めていくにあたっては、モデル体型をベースに考えるのではなく、誰が着ても似合い、かつ、作業もしやすいことが重要になる。現場を知り尽くしている二人は、自らの経験を語りながら、機能面についての細かな要望も伝えた。上条さんは、女性ならではの視点も交えつつ、こう話す。

「食事やトイレ、入浴の介助を行う現場では、ズボンが汚れやすいんです。パッと着替えられることは必須ですね。また、細身すぎると、しゃがむ作業の際に腰が見えてしまいます。女性として、胸元や袖ぐりなどにも気を配ったデザインで、仕事中、何も気にせずに自由に動けるものがいいですね」(上条さん)

また、素材や見た目のデザインについての意見も。

「現在、仕事で着用している制服はポロシャツですが、汗が乾きにくいこともあり、特に夏場の夜勤で長時間働く際は、私服のTシャツに着替えている職員もいます。速乾性など、素材にもこだわるべきだと思います。けれど、休憩時にそのまま外に出掛けても恥ずかしくないような、ちょっとクールなデザインにしたいなと。医療機関でよく着用しているVネックのスクラブなどもすてきですが、ただまねをするのではなく、介護業界ならではのイメージも大切にしたいですね」(上条さん)

一方、杉本さんは、ズボンの裾の長さや、機能面から考えた色も大事にしたいと語った。

「裾が長すぎると、スタッフが個々に裾上げしなくてはなりませんし、フルレングスのズボンは床に擦れやすく、衛生的とはいえません。また、認知症の方の場合、スタッフの名前や顔を覚えられないこともあり、着ている服の色で友人や知り合いと認識することもあるので、モノトーンだと判断しにくいと思います。もし間違えたとき、『自分が認識できていない』と感じることで傷つく方もいますし、例えば街に出たときにも、自分が信頼して身を委ねられる相手を『色』で判断できたら安心ですよね。それに、明るい色を着た方がスタッフ自身も前向きな気持ちになれると思います」(杉本さん)

▲ハイドサイン株式会社の吉井デザイナー、島中デザイナーから説明を受けながら、ユニフォームの完成品を細部までチェックする二人

半年以上、意見交換や改良を重ねた後に
「フォーマル」「スポーティ」の2タイプが完成

三菱商事ファッションでは、二人の意見をもとにデザイン案を作成・改良する、という作業を続け、半年以上の時間をかけてようやくユニフォームは完成。そこで、二人それぞれにこだわりのポイントを聞いてみた。

「医療業界で着用するスクラブとはまた違う、オリジナリティあるVネックのデザインにこだわりました。また、襟なしタイプでもフォーマル感があること、襟つきタイプは襟がヨレない素材とデザインにしてもらうようにお願いしました。また、現場では胸ポケットが重要と考える方も多いので、胸と袖にもポケットを付けて機能性を高めています」(杉本さん)

「ボトムにリブを付け、どんな方にも穿きやすいようにしました。老若男女関係なく、これなら清潔感を大切にしながら着用できます。選びやすいよう、豊富なカラーバリエーションも。また、Vネックのスポーティなものと、白い襟が特徴的なフォーマルなものと2タイプ用意したことで、施設のカラーに合わせたものを選べると思います」(上条さん)

▲完成したデザイン。フォーマル(上)、スポーティ(下)の2タイプで、それぞれ8色のカラーバリエーションを提案

吉井デザイナーによれば、動きやすさを意識し、素材はもちろん、ボタンとファスナーの配置や、透けを防止する機能などにもこだわっているという。また、裾上げはもちろん、ベルトも不要で着用できる仕様を目指した。ここで、実際に完成したユニフォームを二人に着用してもらい、どう感じたかを率直に話してもらった。

「生地がやわらかく、通気性もよさそうです。ウエストの位置が高いので、おなかが見えることを気にすることなく着用できますね。ストレスフリーで動けるから、ユニフォームを変えるだけでも環境改善になるのではないでしょうか。また、ボトムのポケットにはふたが付いているため、大事なものが落ちる可能性も少ない。これは新しい機能だと思います」(上条さん)

「ボトムは、デザインのかわいさと穿き心地を両立できていると感じました。わたりの幅も、太すぎず、細すぎず、ちょうどいいですね。トップスはアロハシャツのような軽い着心地で、肌触りもよいです。また、ボタンが柔らかく、肌に当たっても痛くない設計になっています。現場目線を大事にしたデザインになっていると感じ、すごく共感できました」(杉本さん)

アスリートのように仕事をこなせる機能性を持ち、ホテルスタッフのように清潔感とフォーマル感も備えたデザイン。現場を知り尽くす二人から見ても、実用的でかっこいいユニフォームを完成できたという。

▲白襟が特徴的なフォーマルタイプを着た杉本さんと、羽襟のVネックとクールな配色がポイントのスポーティタイプを着た上条さん

▲袖にもポケットを配置し、ファスナーの位置にも配慮。介助中に、ペンやファスナーなどの硬いものがご利用者さまに当たらないように配慮した

▲ボトムのウエストと足首にトリコロールカラーのリブを付けた。ベルトも裾上げも不要で、着脱しやすく、かつ、裾を引きずらないことで衛生面にも配慮

かっこいいユニフォームは、現場の意欲を高め
仕事の魅力を世間に発信することにもつながる

介護業界を変えたいという、それぞれの思いの結晶ともいえるこのユニフォーム。三菱商事ファッションによれば、今後、介護事業者からの問い合わせに応じる形で、個別に要望を確認した後に、商品生産と販売を行うという。カスタマイズも可能で、要望に沿った提案対応をしていく予定だ。

上条さんは、スタッフのモチベーションをアップすると同時に、多くの人に介護業界の魅力を広めてほしいと話す。

「これまで『介護は、“見た目”ではなく、“心”だ』という文化があったと感じます。しかし、私は、『かっこいいことをやっているのだから、見た目だってかっこよくすべきだ』と考えています。介護は、プロフェッショナルとして、多くの人が幸せに快適に暮らせるよう、十人十色の対応でサポートをしていくクリエイティブな仕事です。そうしたかっこよさを見た目にも反映し、小中学生や地域の方に働いている姿を見てもらえれば、その魅力をより広めていくことができると思っています」(上条さん)

また、杉本さんは、「介護がより身近になる未来を見据えれば、すてきなユニフォームを導入することは重要な先行投資となるのでは」と話す。

「介護は、いまはまだ憧れの仕事ではありません。なぜなら、教師のように誰もが触れ合った経験を持つ職業でもなければ、芸能人のように華やかな職業でもないからです。日本では、身内が要介護者にならない限り、介護の世界を知る機会は少ないもの。けれど、例えばロンドンでは介護が必要な方がよく外出しているため、日常的に触れ合う機会があります。そのため、『手助けをすることが当然』という文化があり、福祉関連の職業に対する評価も高いんです。これからの時代、日本もそうした社会になっていくと思います。そのとき、より多くの人から注目してもらうためにも、スタイリッシュで清潔感のあるユニフォームで社会にインパクトを与えていくことが大事だと思っています」(杉本さん)

「かっこいいユニフォーム」で介護のイメージを変え、業界の魅力を広めていくことは、新たな人材を集めることにもつながるだろう。何より、働く人が誇りを感じられることは、今後の介護業界では必須の命題なのだ。

二人がデザインに参画したユニフォームに対する問い合わせは、三菱商事ファッションが受け付けている。

 

<ユニフォーム制作問い合わせ先>

■メールによるお問い合わせ

三菱商事ファッション株式会社 高井宛 masahiro.takai@mcf.co.jp

■FAXによるお問い合わせ

下記URLよりPDFファイルをダウンロードいただき、FAXにてお問い合わせをお願いいたします。

http://helpmanjapan.com/pdf/mcf.pdf

【文: 上野真理子 写真: 刑部友康】

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