業界最新トレンド
過疎の町に住む高齢者のニーズを、IT企業のサービス・製品開発における“宝”として掘り起こし、ものづくりに役立てたり、高齢者を元気づける取り組みに注目が集まっています。

ITのイベントプロデュースに長年携わっていた奥田浩美さんと、IT分野のメディア運営に関わっていた本田正浩さん――IT業界を熟知したふたりが2013年、徳島県海部郡美波町で立ち上げたのが、株式会社たからのやまです。

「ITの最先端のサービスを作っている会社は、現実の住民の場からとても遠いところでサービスを作っている気がしてなりません」(※)という問題意識からスタートした同社。その取り組みの面白さは、高齢者やその周りの人の課題や要望をデータ化して蓄積し、IT企業にフィードバックしたり、データの利活用のためのセミナーや、サービス・アプリ開発のためのイベントなどを開催しているところです。

例えば、スマートフォンやタブレット端末など、最新IT機器に関する高齢者の相談に無料で応じる「ITふれあいカフェ」を過疎の町でオープン。タブレット講座を開いたり、高齢者向けITサービスを開発する企業に向けた、ニーズ調査やUI検証事業、β版的調査などを実施しています。

また、鹿児島県肝付町では「共創のまち・肝付」というプロジェクトをスタート。これは、過疎地域の課題に役立つ製品開発のフィールドを官民一体となって提供するもので、例えば、ソフトバンクのロボット・Pepperを使い、介護施設でアプリ開発会社や自治体と連携したアプリ開発イベント(アイディアソン)を実施。

高齢者とPepperの交流をもとに、介護現場で働くスタッフの業務の効率化やサービスの向上、高齢者やその周りの人々を幸せにするPepperの使い方の提案などを行っているといいます。

企業にとっては、リアルな高齢者の声が集まりやすく、よりよい製品開発につなげられますし、高齢者にとっても社会活動の一翼を担っている意識が芽生えることで、生きがいやQOLの向上が期待できそうな取り組み。今後の展開に注目です!

※ 株式会社たからのやまHP 会社概要より
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文: 成田敏史(verb)
イラスト: 株式会社コットンズ
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