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仕事があったり家族と一緒に暮らしている人なら、日常生活の中で当たり前のように交わされる「会話」ですが、一人で暮らす高齢者にとって、会話不足は深刻な問題です。

国立社会保障・人口問題研究所の「生活と支え合いに関する調査」(2013年7月公表)によると、65歳以上の一人暮らしの高齢者のうち、一日誰とも会話しない日があると答えた人の割合は、男性が50%、女性が37.2%にも上るそう。夫婦のみの世帯では、男性が14.6%、女性が13.3%ですから、一人で暮らしていると、会話頻度が顕著に少なくなることが分かります。

こうした中、「会話」に着目し、一人暮らし高齢者の孤立化を「電話」で防ごうとするサービスが各社から登場しています。株式会社こころみが運営する「つながりプラス」もそのひとつ。一人暮らし高齢者にコミュニケーターが毎週2回電話をして、会話の内容をその都度、家族にメールでレポートする会話型見守りサービスです。

初回時にはコミュニケーターが本人に直接会って“顔見知り”になるなど、信頼関係や安心感が生まれてからサービスを始めるところがポイントで、電話をかけるコミュニケーターは、認知症発見のための会話術や、家族への報告を目的とした情報収集の方法論などを習得しているプロフェッショナルなのだそう。会話の雰囲気や話し方から、体調の変化や悩みごとの有無なども推測して家族にレポートしてくれるので、そのレポートをきっかけに家族からの電話や訪問といったコミュニケーションが増えて、家族間の絆も深まるといいます。

さらにユニークなのが、見守りサービスのノウハウを生かした自分史作成サービス、その名も「親の雑誌」。高齢者との会話の中で語られる本人の生い立ちの話が面白く、家族も知らないエピソードが多かったことから始まったというサービスで、“自分史の取材”として電話をかけるため、見守られることに抵抗のある高齢者でもスムーズに様子をうかがえるメリットがあるのだそう。

孤独にならないことは、脳の活性化やADL(日常生活動作)の向上にもつながります。ある大学の研究チームの調査では、他人との交流が月1回~週1回未満の人は、毎日頻繁に人と交流している人に比べて要介護2以上になるリスクが1.4倍高く、認知症を発症するリスクも同じ程度高くなるという報告があるほど。

高齢者を元気にしてくれる会話に注目です!
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文: 成田敏史(verb)
イラスト: 株式会社コットンズ
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