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行政・自治体の取組

2019.03.08 UP

東京都がハローキティを「TOKYO福祉のお仕事アンバサダー」に任命! 福祉人材の確保を目的に

現在、福祉業界では、介護分野をはじめ、保育分野、障害福祉分野においても、人材不足が叫ばれています。こうした状況の中、新たな人材確保の追い風とするべく、東京都はハローキティを「TOKYO福祉のお仕事アンバサダー」に任命しました。国民的キャラクターであるハローキティと一緒に、多様な発信を行い、福祉の仕事の魅力を広く世の中に伝えていく取り組みがスタートしました。2019年1月、東京都庁で行われた小池百合子都知事による任命式の様子と、この事業を手掛ける東京都福祉保健局の思いを紹介します。

小池都知事がハローキティに任命状を授与。都知事から激励の言葉が贈られた

2019年1月17日、「TOKYO福祉のお仕事アンバサダー」の任命式が、東京都庁第一本庁舎内にて開催された。小池都知事より、ハローキティへの任命状の授与が行われ、都知事による挨拶やハローキティの決意表明、記念写真の撮影が行われた。

小池都知事からは、ハローキティへの激励の言葉が贈られた。
「キティちゃん、今日は都庁に来てくれてありがとうございます。『福祉のお仕事アンバサダー』としての活躍、期待しております。東京の福祉の仕事を担う人材を確保するためのお手伝い、よろしくお願いします。これからもっともっと多くの方々に福祉の仕事に参加してもらえるよう、仲間を増やしていただければと思います」(小池都知事)

また、都知事の激励に応え、ハローキティによる今後の意気込みについてのコメントも発表された。

「小池都知事にお会いできて光栄です。キティもこれから福祉のお仕事について一生懸命勉強して、たくさんの人にその素晴らしさを伝えたいと思います。みなさまのお役にたてればと思っています。がんばります!」(ハローキティ)

▲ハローキティに任命状を手渡す小池都知事。この後、がっちりと握手も交わされた

▲ハローキティに激励の言葉を贈るとともに、今後の活躍への期待を語る小池都知事

若年層を中心とした多くの人々に。福祉の世界に注目してもらうことを目指す

この任命式に先立ち、2018年12月21日に実施された小池都知事の記者会見では、より詳しく「福祉のお仕事アンバサダー」任命の背景が語られている。

介護分野、保育分野、障害福祉分野など、福祉サービスへのニーズに対応していくためには、何よりも福祉の人材が必要であり、人材の安定的な確保ということが不可欠であること。そして、若者層を中心とした、より多くの人々に福祉の世界に注目してもらうために、株式会社サンリオとライセンス協定を締結し、国民的キャラクターであるハローキティを「TOKYO福祉のお仕事アンバサダー」に任命したという。また、今後の展開についても小池都知事から詳細が語られた。

「これから、キティちゃん、そして、その仲間たちに福祉の仕事の魅力を伝えるための動画や、関連施策の冊子などへの登場、また、イベントの出演やPRということで、さまざまな取り組みを展開していく予定でございます。キティちゃんには、『TOKYO福祉のお仕事アンバサダー』として、大いに東京の福祉を盛り上げていただきたいし、一人でも多くの皆さんに、魅力ある福祉の世界に飛び込んでいただきたいと思います」(小池都知事)

▲2018年に実施された記者会見の様子。ハローキティ任命の背景や今後の展開について語る小池都知事

▲任命式終了後の記念撮影で、「TOKYO福祉のお仕事アンバサダー」への意気込みを表現するハローキティ

▲東京都保育人材・保育所支援センターのイメージキャラクター、ホイクマとホイクマンも応援に駆けつけた

「安心して住み続けられる街を作りたい」東京都福祉保健局が目指す福祉の未来

今回の任命式に際し、「TOKYO福祉のお仕事アンバサダー」の企画に携わる東京都福祉保健局(生活福祉部地域福祉課)の菊田真衣子さんにもお話を伺った。

「現在、福祉人材の確保は非常に困難であり、都内の介護職求人倍率は7倍超、保育についても6倍超となっています。他県と比較しても群を抜いている状況であり、人口の多い東京都には福祉サービスを必要としている方が非常に多くいます。住み慣れた街で安心して暮らし続けられるよう、また、より良い子育て環境を求めている方のためにも、福祉人材の確保は必要不可欠です。こうした背景のもと、福祉の仕事のイメージアップを図り、東京の未来を担う若い世代や子ども達を中心としたより多くの方に興味を持ってもらい、裾野を広げていくことを目的とした普及啓発活動をスタートすることになりました」

東京都では、これまでにも介護の仕事の魅力を知ってもらう体験型のイベント『介護のコト体験フェア』や、福祉の仕事全体のイメージアップを図る体験型のイベント『トーキョーソーシャルフェス』を開催し、福祉の仕事の普及啓発を行ってきた。

「若年層の関心を集め、職業の選択肢として興味を持ってもらうためには、福祉の仕事の面白さをより身近に感じてもらうことが大事。そう考え、コンテンツの充実を図り、広報活動を工夫した結果、若者の来場者は増えました。しかし、イベントは参加できる人数に限りがありますし、また、一回参加してそれきりで終わってしまう可能性も高い。そこで、年間を通じて継続的な情報発信を行い、福祉への関心が薄い人に興味を持ってもらうきっかけをつくろうと考えたのです」

ハローキティを登用した理由としては、「幅広い世代に愛されている国民的キャラクターであること」がポイントだ。

「東京都では、福祉関連の各部署がそれぞれ人材確保についての施策を実施していますが、一つのシンボルのもとで発信していくほうが、一体感を持たせることができると考えました。ハローキティには高い知名度があるため、まずは、『東京都とハローキティが一緒に何かをやっている』という一貫したインプットを行い、福祉や福祉の仕事に興味を持つきっかけを増やすとともに、さまざまな福祉人材施策にスポットが当たるようになればと思っています」

▲「ハローキティは、幅広い世代に親しまれているキャラクターである上、いろんなファッションができるという長所もある。福祉の仕事の多様な場面や魅力を知ってもらえると考えている」と語る菊田さん

福祉の仕事には大きなやりがいと面白さがある。実態を伝え、段階的に啓発活動を続けていく

菊田さんは、「福祉の仕事は、誰にでも門戸が開かれており、かつ、誰にでも起きうる身近なことに携わりながら、スキルアップしていくことができる」と話す。

「福祉業界は、メディアによって『人手不足』などの悪い側面が切り取られることが多いと感じますが、実際に働いてみたら、大きなやりがいと面白さを感じられる仕事だと思います。昨今は、人材確保のために待遇やライフワークバランス、キャリアアップ制度などの整備に力を入れている事業所も多いです。また、それぞれの福祉領域には様々なサービスがあり、かつ、多様な働き方ができるという魅力もある。つまり、個々のライフプランやキャリアプランに合わせ、長く働き続けていける業界へと変化しつつあるのです。そうした実態を伝えながら、福祉に関心が薄い人に福祉の仕事の魅力に加え、こういった業界の変化について知ってもらうきっかけを提供し、やがて職業選択の一つとして興味を持ってもらえる業界になるよう、段階的に啓発活動を続けていきます」

今年度は、ハローキティと一緒に福祉を身近に感じてもらうための動画制作を行い、YouTubeのチャンネルや街頭ビジョンでの発信を行う。また、福祉関連の各種イベントにもハローキティが応援に駆けつけるという。

「ハローキティの持つ柔らかい雰囲気を生かし、『福祉の仕事は私たちの身近にあって、いろいろな場面で私たちの生活(幸せ)を支えている』ということを感じてもらえるような動画を作りました。東京都の公式動画チャンネル「東京動画」やYouTubeで配信しています。また、2019年1月20日には、『保育のおしごと応援フェスタ』、3月3日には『福祉の仕事就職フォーラム』にハローキティが出演し、福祉の仕事のPRをしたり、来場された皆さんや福祉の職場で働く皆さんへエールを送りました。まずは少しでも多くの方に福祉を身近に感じてもらうことからスタートし、ここから一歩一歩、東京都の福祉の未来を変えていきたいと思います」

国民的キャラクターのハローキティと一緒に東京の福祉を変えていくこの取り組み。今はまだファーストステップだが、「誰もが安心して暮らせる街TOKYO」を実現していくこの先の足取りに注目したい。

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【文: 上野 真理子 写真: 刑部 友康】

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