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行政・自治体の取組

2025.06.30 UP

福祉の仕事の魅力を伝えるために。「学生×映像のプロ×自治体」が協働し「リアル」が伝わるドキュメンタリー動画を制作/兵庫県 明石市

福祉現場を担う働き手の不足が社会問題となっている中、 福祉人材の確保につなげることを目的に、各地域でさまざまな魅力発信の取り組みが行われている。
今回は、明石市役所福祉局福祉政策室施設人材育成課(※現在は福祉施設支援課)で取り組んでいる「福祉のしごと魅力発信事業」についてお話を伺った。

―― 本事業の概要について教えてください。

※取り組みの詳細はこちらよりご覧ください。
「福祉のしごと魅力発信事業」

福祉現場を担う働き手の不足が社会問題となっている中、福祉の仕事の魅力を多くの人に知ってもらい、福祉人材の確保につなげることを目的に、明石市の産官学共創プロジェクトの取組の一環として2024年度4月から企画が始動しました。
具体的には、明石市が映像制作のプロフェッショナルと、今年度新たに開設された明石商業高校福祉科と連携し、ドキュメンタリー動画の制作を行いました。

主に中学・高校生などの若い世代に響く動画を制作するために、明石商業高校福祉科の学生の視点も取り入れ、児童発達支援センター、就労支援事業所、特別養護老人ホームに実際に訪問。現場体験をするなかで、初めての経験に戸惑う様子や、普段は見ることができない施設現場の様子をリアルに伝えています。

また、視聴者の心に響かせる視点・技術を取り入れるため、明石市の共創アドバイザーで、株式会社NHKエンタープライズにてディレクター経験のある、株式会社ハッピーエンジン代表取締役の菅山 明美氏をアドバイザーに迎え、映像制作はテレビ番組や企業CM等も手掛けた実績のあるオフィス・ビューローの今尾 偲氏に依頼しました。

―― 取り組みの詳細について教えてください。

動画制作にあたり、明石商業高等学校福祉科のみなさんにはプロの映像撮影技術を学び、動画の撮影・編集技術が今後の福祉の現場でどのように活かせるか考えるきっかけにしていただきたいと思い、1期生40名に対し特別授業を実施しました。

▲特別授業の概要
出所:明石市作成『福祉のしごと魅力発信事業 企画書 』

1日目は、映像制作のプロである菅山氏と同じくテレビ番組ディレクターの伊藤 仟夜里氏により、動画の技術を福祉の現場にどう生かすか?について講義と演習を実施していただきました。
生徒たちには「誰に向けて?」「なんのために?」という企画・構成から編集や音付けの基礎など動画制作の流れを一通り学んでいただきました。

2日目には、ドキュメンタリー動画撮影のロケに行く生徒と、ショート動画を制作する生徒に分かれ実習を行いました。
最終日は、明石市長の丸谷市長にも参加いただき、生徒たちが実際に制作したショート動画の発表会を行いました。

▲特別授業の様子

―― 動画制作の基礎を学んだうえで、動画撮影のロケに臨んだんですね。ドキュメンタリー動画の撮影で工夫したことや、動画のポイントを教えてください。

当初は、各施設の職員や利用者さんに対し、生徒のみなさんからインタビューをする様子を動画にしようと思っていました。
ただ、いざ撮影に入ると生徒さんたちがかなり緊張してしまい、なかなか撮影がスムーズに進まなかったんですよね。でもその様子が逆にリアルを伝えられるのではないか?という制作の今尾氏の意見もあり、そのまま撮影を進めることになりました。

▲児童発達支援センターでの撮影の様子

▲就労支援事業所での撮影の様子

最初はとまどい、緊張している表情から、徐々に緊張がほぐれ、笑顔になる様子が動画でも伝わるかと思います。
今回の動画は、台本の用意はありませんでした。
そのため、現場の職員の様子や、初めて福祉の現場に触れる学生のみなさんの様子がよりリアルに伝わる動画になっているので、これまで福祉に接したことがない人の心にも響くような動画が完成したと思います。

▲特別養護老人ホームでの撮影の様子

―― 取り組みにより生まれた効果や、いただいた声などを教えてください。

「学生のみなさんと協力して制作する」ということの効果が大きいと感じています。
実際に明石商業高校福祉科の生徒のみなさんの体験の様子や表情、思いが動画になることで、若い世代に福祉の仕事を身近に感じてもらえるような動画が完成したのではないかと思っています。
また、今回のロケに参加した生徒の中には将来福祉関係の仕事に就きたいと考える生徒も多く、より一層思いを強くした生徒もいたようです。
各福祉施設にはプロジェクトの開始時から積極的に協力をいただき、撮影、校正に至るまで大変ご苦労をおかけしました。動画が公開されたときも非常に喜んでいただき、動画の周知にも協力をいただいています。

―― 今後に向けて検討していることやメッセージをお願いいたします!

福祉人材不足の社会課題に少しでも貢献できればと考えています。動画の完成はまだスタート地点で、まずは今回制作した動画を学校の授業で見てもらうなど、若い世代のみなさんに見ていただけるよう周知に力を入れていきたいと考えています。
この動画を見て、明石市のみならず、日本全国で、少しでも多くの人に福祉の仕事の魅力が伝わることを望んでいます。

【ドキュメンタリー動画はこちらよりご覧ください!】
・「笑顔」で家族をまるごと支援ということ ~児童発達支援センター~
https://www.youtube.com/watch?v=cE1RypSkeVI

・「働く」を支えるために「働く」ということ ~就労支援事業所~
https://www.youtube.com/watch?v=YmcejgaHG7E

・人生最後の日々を最高の色にということ ~特別養護老人ホーム~
https://www.youtube.com/watch?v=QsifJjvTsiQ

 

【文: HELPMAN JAPAN 写真: 明石市提供】

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