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自分、家族、周りのみんな。
それぞれの工夫をパターンランゲージで紹介

▲認知症の「本人」へ提案する工夫、「できることリスト」。失っていく能力にフォーカスするのではなく、いま現在、自分が「できること」を書き出すことが前向きな日々につながると伝える
自分や家族、そして身近な人が認知症と診断されたとき、日々の生活は大きく変わるでしょう。本書が提案するのは、そんな生活を悲観することなく、まったく新しい日々を実現できる「新しい旅」のはじまりと捉えること。そして、その旅をよりよく生きるための工夫を、認知症の「本人」と「家族」、そして周りの「みんな」の3つの立場から、40の「ことば(=工夫のなまえ)」にまとめて紹介しています。

40の工夫は、それぞれの立場の人々から聞いた、彼らが実践している事柄をまとめたもの。認知症にかかわる日々で起きる「状況」、そこで生じる「問題」を、どう「解決」すればよいのか。その方法を“パターンランゲージ”(※)の手法で記しています。できることを書き出し「できることリスト」を作る、自分のことをうまく伝えられないときのために自分自身を表すアルバムやノート等の「自己紹介グッズ」を持ち歩くなど、心に響けばすぐ実行できる前向きな「工夫」が詰まっています。

これまで、認知症の人のための書籍といえば病気の症状や治療、介護に関する内容が中心でした。だからこそ本書は、「本人」のための初めての「生き方指南書」といえるでしょう。

※ 建築家のクリストファー・アレグザンダーが提唱。複雑な現象の中から、起こりやすいパターンに着目し、暗黙知を言語化する手法

★★HELPMAN Point!★★

▲目次のページには、各工夫のキーワードとイラストが一覧に。これらのイラストは、慶應義塾大学・井庭崇研究室の学生たちによるもの。あえて年齢性別が特定されない人物イラストを意識したという
本書において注目したいのは、その制作にパターンランゲージを研究する慶應義塾大学・井庭崇研究室の学生たちがかかわっている点です。認知症当事者とその家族との何気ない会話を意識的に盛り上げることを勧める「おもしろ化」や、当事者たちにとって心地よい商品デザインを表す「ウォームデザイン」というキーワード。それらパターンランゲージを用いたチャーミングな“ことば”は、業界の当たり前にとらわれない学生ならではの視点が加わったからこそ生まれたものかもしれません。

こうして生まれた認知症の手引きは、一方的に学ぶ教科書ではありません。読む人が自分ならではの「工夫」を自身で考えてみる、その余白がたっぷりと残されています。介護や福祉の職に就く人たちが本書に触れたとき、日々現場で無意識に実践していた「工夫」を、自分自身の「旅のことば」として見出すことができるのではないでしょうか。見つけたなら、ぜひ周りの人と共有してみてください。
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★『旅のことば 認知症とともによりよく生きるためのヒント』
価格:1,300円+税

【編著】井庭 崇、岡田 誠 【著者】慶應義塾大学・井庭崇研究室、認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ 【発行】丸善出版
[
文: 高木沙織(verb)
]
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