業界最新トレンド
「高齢者は介護施設」「障がい者は障がい者施設」と、分けてしまうことなく、高齢者も子どもも、赤ちゃんも、障がいがあってもなくても、あらゆる人たちと楽しく共に過ごす、富山発の福祉サービス「富山型デイサービス」、通称「富山型」。その生みの親である、NPO法人デイサービス「このゆびとーまれ」の理事長、惣万佳代子さんが、このたび「第45回フローレンス・ナイチンゲール記章」に輝きました。今回の受章者は世界で36人。世界各地で看護に功績を残した人々に贈られる、看護活動最高の栄誉です。

元は看護師だった惣万さんが病院を退職し、看護師仲間と3人で「このゆびとーまれ」をスタートしたのは1993年のこと。当初は、国や県の補助金対象外の施設とされ、苦しい経営を余儀なくされたといいます。しかし、その取り組みは徐々に看護師や介護職経験者の支持を得て、やがて行政をも動かし、1996年より段階的に補助金交付の対象となったのです。

たった一軒の小さな民家から始まった地域密着型の小規模デイケア「富山型」は、現在、全国約1,400カ所にまで広がり、いまも着々と増え続けています。民家を改装して作る施設がほとんどの「富山型」は、大きな施設とは異なり、畳があって台所がある、自分の家のように過ごすことができる空間です。収容人数も少ないため目配りも行き届き、スタッフや他の利用者とも仲良くなれるのも素敵なところ。

「富山型」は、必要なときにデイサービスとして気軽に立ち寄れる、近所の「もう一つの家」のような場所。そこは、介護をする家族にとっても、日々抱える不安や負担を軽くしてくれる存在でもあるのです。惣万さんはいま、中国や韓国などアジアにも「富山型」が広がる将来を思い描いているそう。今回の栄えある受章が、その実現を後押しすることは間違いないでしょう。
[
文: 高木沙織(verb)
イラスト: 株式会社コットンズ
]