漫画ヘルプマン!
2015.12.25 UP
あらすじ&作品紹介
1級建築士の柳田英寿は「50年も車を転がし」、運転に自信を持っていた。しかし、エンジンのかけ方を忘れる、駐車場で他人の迷惑になる止め方をする、さらには信号無視をするなど、危険な運転を繰り返すようになってしまった。柳田の妻は、暴力を振るい始め変わり果てた夫の姿や、車を運転し徘徊する夫の問題行動に対する不安、そして近所の目を気にし、夫の愛車を無断で廃車にしてしまう。
一方、「介護総合情報センター」を運営する神崎仁は「高齢者ドライバー問題が、完全に介護業界の領域外であるはずがない」と、調査を開始。認知症に対する知識があれば、運転のサポートをすることで軽度の認知症でも運転できるとし、柳田の尊厳とも言うべき「カーライフ」を根こそぎ奪うような行為を許せず柳田家の誤解を解こうとする。
2022年には65歳以上のうち運転免許証保有者は77.5%。つまり、高齢者のほぼ全てがドライバーになり、道路上の危険は激増する。しかし現在の法律では、高齢であることだけを理由に免許を取り上げることはできない。誰しもが老いを経験し、老い共に自尊心は奪われる。高齢者から「自活する意欲」を剝ぎ取る社会に対し、ヘルプマン達が出す答えとは?
ヘルプマン!主人公
恩田百太郎(おんだももたろう)
恩を百受ける男、恩田百太郎。介護を通じ、高齢者の圧倒的な知識や経験に学び、それを原資に、介護業界の矛盾を、等身大の高齢者視点で改善しようとする破天荒な青年。介護業界の主人公は高齢者自身とするがゆえに、介護保険制度や固定観念と日々対立。現在は、フリーの介護士として働き始める。
神崎仁(かんざきじん)
矛盾に満ちた介護業界の構造と闘う社会福祉士。介護福祉士、ケアマネジャーとキャリアを積む。ケアマネジャー時代に独居の在宅高齢者から頂いた“おしるこ”の温かさに触れ、目指す未来が明確に。人と社会をつなげるために日夜奔走中。現在は、介護の可能性を探るためショッピング施設内に地域の住民や機関・団体などをつなぐ「介護総合情報センター」を開設。
編集者からのコメント
当たり前のようでいて、高齢者にとって深刻な「移動」の問題。特に公共交通機関の少ない地方や過疎地に住む高齢者にとって、車の運転は生活そのもの。しかし改正道路交通法では、認知症と判断された場合、「生活の足」を失うことになります。増え続ける認知症ドライバーの事故などが危惧される一方で、免許を失うということが、当事者やその家族にどんな問題を引き起こすのでしょうか
★ヘルプマン!! Vol.2 高齢ドライバー編
価格:691円(税込)
【著者】くさか里樹 【発売日】2015年9月18日 【ISBN】978-4023314405 【発行】朝日新聞出版