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漫画ヘルプマン!

2019.05.13 UP

わたしら年寄りが創ろうとしている未来を見ちゃくれませんか?

あらすじ&人物紹介

主人公は、思った事がついつい口を衝いて出てしまう、ことぶき新聞社生活部記者・鯱浜良平。通称トドハマ。
「介護総合情報センター」の神崎仁は、高齢者の生活の足となる新しい移動手段「のりあいクルマ」というサービスを作ろうとしていた。内容は、運転免許を保有する車を所有していない者に安価に車を貸与する代わりに、高齢者を乗せ希望の場所まで届けるという仕組み。高齢者からも15分500円の料金を徴収する。幹線道路のバス乗り場は遠く、運転出来ず、高価なタクシーは日常的に乗れない遠隔地の高齢者が抱える課題解決のため、高齢者と運転したい人がお金を出し合い1台の車をシェアするマッチングビジネスが狙いだった。
鯱浜は、このサービスを可能にする “公共交通空白地有償運送”という、一般人が自家用車でタクシーのように料金をとれる制度について詳しく調べていた。彼の上司は、国家レベルの利権が絡む問題で、地方紙が取り上げる内容ではないと警告。一方、神崎は「のりあいクルマ」の事例作りを着々と進めていた。この動きを嗅ぎつけた県ハイヤー・タクシー協会会長の橋下一茂は、国交省に掛け合い、素人による格安運送の阻止に動く。更に、この移動手段に欠かせない配車アプリを開発したIT企業が黒幕だと突き止め、制度を悪用した白タクまがいのサービスだとして、鯱浜に問題提起する記事を書くよう圧力をかけてきた――。

ヘルプマン!!主人公

■鯱浜良平(しゃちはまりょうへい)

ことぶき新聞 生活部 記者。新しい介護ビジネスを取材すべく各地を飛び回っている。思ったことが口をついて出てしまう癖がある。通称・トドハマ。

■恩田百太郎(おんだももたろう)

恩を百受ける男、恩田百太郎。介護を通じ、高齢者の圧倒的な知識や経験に学び、それを原資に、介護業界の矛盾を、等身大の高齢者視点で改善しようとする破天荒な青年。介護業界の主人公は高齢者自身とするがゆえに、介護保険制度や固定観念と日々対立。現在は、フリーの介護士として働き始める。

■神崎仁(かんざきじん)

矛盾に満ちた介護業界の構造と闘う社会福祉士。介護福祉士、ケアマネジャーとキャリアを積む。ケアマネジャー時代に独居の在宅高齢者から頂いた“おしるこ”の温かさに触れ、目指す未来が明確に。人と社会をつなげるために日夜奔走中。現在は、介護の可能性を探るためショッピング施設内に地域の住民や機関・団体などをつなぐ「介護総合情報センター」を開設。

編集者コメント


「ヘルプマン!!取材記」2巻に続き、高齢化が進む超高齢社会の切り札のひとつとなる交通弱者の足として、高齢者が自ら行きたい場所や、やりたい事を自発的に実現できるための移動手段となるサービスを漫画で取り上げました。
実はこの話を取材で伺った際、公共交通やタクシーなどがあるじゃないかと思ったのですが、警視庁が発表する運転免許統計によると、高齢による運転免許の自主返納者数は2015年から10年間で約10倍以上に増加しているとのことで、高齢ドライバーの減少が意味するものは、彼らから移動手段のひとつである自家用車の運転を奪うもので、一見すると高齢ドライバーの事故が多発している現代では当然の措置ともとれますが、彼らは返納当日から行動範囲が狭くなるだけに留まらず、老いによる足腰の負担は年々増すため、自宅から引きこもり、他者との交流も極端に減ることになります。こうなると、楽しみを奪われたことにより筋力低下や認知機能の衰えなどの問題も起こり、健康面の低下も予想され結果的に介護費用や医療費などの公費も増えると考えられます。また、収入の見込みもない年金暮らしでは、高価な移動手段は極力控える傾向になるでしょうし、家族にお願いしてどこかへ連れて行ってもらうのも、当事者として考えてみた場合、1日数回や、連日連夜の依頼はできず、行きたい時にやりたい事ができないというジレンマは確実に起こります。
こういった社会課題に、当事者視点で新たなモビリティーサービスの開発は急がれますが、どうしても現役世代視点になるため、サービスを作っても盲点だらけになるため、本作を作るにあたり、新たな移動手段を開発しようと取り組んだ取材先から、日本の課題について詳しく情報提供いただきました。

2003年から11年間、講談社青年漫画誌にて連載してきた介護漫画の金字塔「ヘル
プマン!」。第40回日本漫画家協会賞大賞受賞の本作は、これまでに、認知症の当事者目線から見た「認知症編」や高齢者の性問題を扱った「高齢者性問題編」、定年退職後の人生を描いた「セカンドライフ編」など、高齢化社会の実情を様々角度から描いてきた。2014年末、週刊朝日に移籍し、新生「ヘルプマン!!」として単行本化。移籍第1巻「介護蘇生編」は、日常的に高齢者が抱える「誤嚥」に関した問題を取り上げた。本作は、「すべての人間のさけられない老いと死の闇、光と救いを与える奇跡のま漫画!!」(瀬戸内寂聴氏より)、「くさかは肝の座った漫画家だ。くせのある人物を大胆な小回りで翔ばす。その気っ風には惚れる。」(内舘牧子氏より)など多くの文化人・著名人から絶賛されている。

本作は、取材先の全面協力の元、連載させていただいており、今後も本作及び「HELPMAN JAPAN」で取材させて頂きました皆様へ「ヘルプマン!!-取材記-」へのオファーをさせていただく可能性もございます。その際は是非エピソードのご提供をいただけますと幸いです!

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★ ヘルプマン!!-取材記- Vol.3
のりあいクルマ編
価格:778円(税込)
【著者】くさか里樹
【発売日】2019年5月13日

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