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漫画ヘルプマン!

2018.07.30 UP

ぼくら報道陣は、いったい何を書けばいいのだろう。介護は、ほんとに記者泣かせだ。

あらすじ&作品紹介

2003年から介護業界を取材し続けた本作は、多くの介護関係者や専門家と繋がる事ができ、介護にまつわる様々な情報をいただいております。そこで得た情報には、創作を超えた面白く興味深い事実の物語があり、これらの実態を、史実に基づいたフィクションとして表現することにしました。取材記としてリニューアルした「ヘルプマン!!」はこうして誕生し、記念すべき第1巻が2017年12月にスタート!!

主人公は、思った事がついつい口を衝いて出てしまう通称トドハマこと、ことぶき新聞社生活部記者の鯱浜良平(しゃちはま りょうへい)。“新しい介護ビジネス”をテーマに日本全国を飛び回る。 介護は法律がややこしく、新しく目立つ介護ビジネスは同業者から反発を受け、介護する家族への心理への配慮も必要な、とてもデリケートで記者泣かせなもの。どこを叩けば突破口になるのかも不明瞭で、まるで社会問題の総合デパート。更に、2025年には団塊の世代が後期高齢者となり4人に1人が高齢者になる、圧倒的な超高齢社会が到来する。そんな解決の糸口すら見えない中で、何を書けばいいのか暗中模索する中、介護福祉士と社会福祉士の資格を取得し、介護の新しい可能性を探るため、ショッピング施設内に地域の住民や機関、団体などをつなぐ「介護総合情報センター」を運営する金髪の青年・神崎仁(かんざき じん)のもとを訪れた。

そこで神崎は、市の商工会の全面協力で地元企業や市民の寄付金を原資に法律に縛られず個々のニーズに合ったサービスを自由に提供していると話す。 鯱浜は、介護保険は財源不足で自由に使えず施設などでは人手が足りず、ルーティンワークをこなすことすらできなくなり、要介護高齢者は体の自由が効かないため、家族は働く自由も外出する自由も奪われる八方塞がりで自由とは無縁の仕事だと思い込んでいた。神崎は、鯱浜の固定観念を覆すため、“自由”という介護の本質を見せようと、デイサービスセンター『幸のつどい』に連れていく。そこで待ち受けていたのは、パンクロッカーの出で立ちの青年だった。

実は代表取締役の中平武志(なかひら たけし)が介護を志す前の10代の姿だったのだが、神崎が伝えようとする“自由”は、そういう事ではなかった。 中平は、高等専門学校を4年次に中退し自分の力で生きていくため職業訓練校で自動車整備士のコースへ進み、その実習先がたまたま介護施設だったことから運命の出会いを果たす。鯱浜は、神崎が言う介護の“自由”とは、社会の落ちこぼれでも誰でも自由に参入できるハードルが低い仕事と誤解。一方、中平は、大学や専門学校を出て国家資格を取得しても、介護をやるべきでない人を沢山見てきたと語りだす。彼が職業訓練校で目の当たりにした、綱で牛を牽くように高齢者を無理矢理誘導する介護職員の姿や、高齢者の話を聞かず「どうせ何もわからないんだから」と動物の様に扱う衝撃的な場面に言葉を失った。 中平が語る介護の実態は、鯱浜が知るマスコミが伝え続けるイメージと齟齬がなかったが、“新しい介護ビジネス”の切り口からは程遠くかけ離れていた。しかし、職業訓練に通っていた当時に突然専門外の「介護」という未知の仕事に危機感を抱いた中平の直感から『幸のつどい』が立ち上がるまでの経緯と、現在に至る運営哲学は奇想天外でクレイジーだが、それでビジネスが成立している介護という業界には強い違和感を覚えた。介護業界に目を向けスクープを追う鯱浜の取材がここに始まる!

 

ヘルプマン!!主人公

鯱浜良平(しゃちはまりょうへい)

ことぶき新聞 生活部 記者。新しい介護ビジネスを取材すべく各地を飛び回っている。思ったことが口をついて出てしまう癖がある。通称・トドハマ。

 

恩田百太郎(おんだももたろう)

恩を百受ける男、恩田百太郎。介護を通じ、高齢者の圧倒的な知識や経験に学び、それを原資に、介護業界の矛盾を、等身大の高齢者視点で改善しようとする破天荒な青年。介護業界の主人公は高齢者自身とするがゆえに、介護保険制度や固定観念と日々対立。現在は、フリーの介護士として働き始める。

 

神崎仁(かんざきじん)

矛盾に満ちた介護業界の構造と闘う社会福祉士。介護福祉士、ケアマネジャーとキャリアを積む。ケアマネジャー時代に独居の在宅高齢者から頂いた“おしるこ”の温かさに触れ、目指す未来が明確に。人と社会をつなげるために日夜奔走中。現在は、介護の可能性を探るためショッピング施設内に地域の住民や機関・団体などをつなぐ「介護総合情報センター」を開設。

 

編集者コメント


2003年から11年間、講談社青年漫画誌にて連載してきた介護漫画の金字塔「ヘルプマン!」。第40回日本漫画家協会賞大賞受賞の本作は、これまでに、認知症の当事者目線から見た「認知症編」や高齢者の性問題を扱った「高齢者性問題編」、定年退職後の人生を描いた「セカンドライフ編」など、高齢化社会の実情を様々角度から描いてきた。2014年末、週刊朝日に移籍し「ヘルプマン!!」として単行本化。移籍第1巻「介護蘇生編」は、日常的に高齢者が抱える「誤嚥」に関した問題を取り上げた。本作は、「すべての人間のさけられない老いと死の闇、光と救いを与える奇跡のま漫画!!」(瀬戸内寂聴氏より)、「この漫画を手にとって、介護の世界の「ワクワク」を体験してみて下さい!」(イケダハヤト氏より)など多くの文化人・著名人から応援コメントを頂き、介護現場からも高い評価を頂きました。

これまで取材させて頂いた介護業界のエピソードは、現実は小説より奇なりと申す様に、とても興味深く、とてもユニークで、そしてアイデア豊富な着眼点から“本来あるべき姿”を私達に提示してくれました。それをフィクションのキャラクターやストーリーに掻い摘んで落とし込むより、そのものズバリを作中の中で描けないか? と作家・くさか里樹氏より提案があり、フィクションの新聞記者が、これまで実際に作品を通じて出会ったノンフィクションのエピソードを持つ取材先へ訪問するという趣向で、改めて「ヘルプマン!!-取材記- Vol.1」としてスタートする事になりました。本作は、取材先の全面協力の元、連載させていただいており、今後も本作及び「HELPMAN JAPAN」で取材させて頂きました皆様へ「ヘルプマン!!-取材記-」へのオファーをさせていただく可能性もございます。その際は是非エピソードのご提供をいただけますと幸いです!

 

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ヘルプマン!!-取材記- Vol.1 のりあいクルマ編
価格:691円(税込)
【著者】くさか里樹
【発売日】2018年7月30日

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