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HMJ活動紹介

2020.11.13 UP

コロナ禍における新たな採用×定着をテーマに。HELPMAN JAPAN介護事業者向けオンラインシンポジウムの開催レポート

2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大が進む中で、「一人でも多くの人が福祉・介護業界でイキイキと働くことが出来る世界づくり」を目指す我々HELPMAN JAPANは、「新型コロナウイルス感染症に負けるな!応援プロジェクト#つむぐ!笑顔メッセージ」をスタートさせました(https://helpmanjapan.com/article/category/feature)。ここでは、福祉・介護業界のみなさまがご尽力されている『感染症対策』や『コロナ禍における採用・定着』に関する様々な取組みをお伺いし、弊社WEBサイトを通じて、事業者様のメッセージと共に、特集記事として広く発信しています。更に、様々な法人様の取り組みを取材させていただく一方で、その情報をより多くの法人様に直接届けたいという思いから、WEBサイト上ではお伝えしきれなかった内容も含め、「コロナ禍における採用・定着」をテーマに、講演とパネルディスカッションの2部構成にて、福祉・介護事業に携わる4法人様(社会福祉法人若竹大寿会、社会福祉法人一燈会、社会福祉法人小田原福祉会、社会福祉法人南高愛隣会(※敬称略))にご協力を賜り、オンラインシンポジウムを開催いたしました。今回は、その開催内容をレポートさせていただきます。

▲当日のプログラム

 

当日のプログラムより

第1部では、4法人様に採用・定着活動の取り組み事例についてご紹介いただきました。一部をご紹介いたします。

【第1部:講演】

「コロナ禍における採用・定着活動の変容への取り組み」

Ⅰ.新卒採用とSNS有効活用による情報発信サイクルの構築

<社会福祉法人 若竹大寿会>
神奈川県と東京都で高齢者福祉事業、障がい者福祉事業、地域交流事業、診療所などの複合事業を展開される社会福祉法人若竹大寿会様。コロナ禍における新卒採用について、スケジュールや工夫されたことなどをお話いただきました。

[講演内容骨子]:2月末からオンライン説明会を開始し、4月の緊急事態宣言が出てからは、全ての説明会をオンラインで実施。説明会では、ターゲットの思考やターゲットの就職活動時期に合わせて、プレゼン内容を変化させた。例えば、4月までは就職活動初期段階ということで、業界への理解度を高めるために業界説明を中心に行い、5月以降は学生の所属に合わせた説明へと変更。オンライン説明会を導入したことにより、参加者数は258%アップ、8月末時点で目標の採用人数を達成できたという。また、学校回りや直接学生に会う機会が減ってしまったことから、WEB上での広報活動の必要性を強く感じ、SNSを積極的に活用されたとのこと。

(若竹大寿会様の取り組み記事はこちら→https://helpmanjapan.com/article/9192

 

Ⅱ.外国人技能実習生採用を成功に導くプロセス

<社会福祉法人 一燈会>
神奈川県足柄上郡を中心に特別養護老人ホームや介護老人保健施設、認知症グループホーム、訪問介護などの介護保険サービス、障がい者向けの福祉サービスなど、多数の介護福祉事業を手掛ける社会福祉法人一燈会様からは、2015年より行ってきた外国人技能実習生採用についてお話をいただきました。

[講演内容骨子]:技能実習生を採用する際には風土・文化に合わせたフォローが大切であり、具体的な取り組みとしては、ご家族を大切にするお国柄出身の技能実習生のフォローにおいて、現地での家庭訪問や家族懇親会を実施(※新型コロナウイルス感染症拡大前に実施)。また、新型コロナウイルス感染症が拡大する真只中、日本行きの見通しが立たない技能実習生たちの中には不安な日々を過ごしていたり、日本で働いていたが仕事がなくなり、苦しい生活を余儀なくされる人もいた。送り出す側と受け入れ側の双方で厳しい状況が続く中でも、採用活動をストップすることなく、信頼のおける送り出し機関の協力のもと、Zoomによる一斉面談を実施。10~20代の若い介護人材11名の応募者の中から、3名の人材を採用することが出来たとのこと。(一燈会様の取り組みはこちら→https://helpmanjapan.com/article/9118

 

Ⅲ.新たな採用面接手法と適性検査個別フィードバックによる成功事例

<社会福祉法人 小田原福祉会>
小田原市に特別養護老人ホームを設立して以来、ショートステイ(短期入所)、デイサービス(通所介護)、ヘルパー(訪問介護)、グループホーム、配食等のサービスを提供されている社会福祉法人小田原福祉会様からは、法人が求める人材像の明確化を行い、明確な基準を設けることの必要性をお話いただきました。

[講演内容骨子]:自法人の採用における工夫として、前もって求める人材像を明確化し、選考を通じてその人材像に当てはまるかを確認することで、入社後の離職者を少なくできているとのこと。また、面接の際には適性検査を使い、その結果に基づきエピソードを引き出しながら人物像を確認。さらに、検査結果について個別のフィードバックも実施している。取り組みを始めたきっかけは、学生と接する中で「自分の事を理解してほしい」と思っている人が多いと感じたことだが、取り組みを重ねていく中で「自分を理解してくれる法人に就職したい」という気持ちがあることに気付き、フィードバック型の面談が採用に効果的だと感じるようになった。適性検査も種類があり、何を知りたいのかから逆算して選ぶことがお勧めとのこと。(小田原福祉会様の取り組みはこちら→https://helpmanjapan.com/article/9040

 

Ⅳ.オンライン入社式とeラーニングを活用した入社後活躍研修

<社会福祉法人 南高愛隣会>
長崎県内にて約1,000名ものご利用者様へ障がい者福祉サービス展開を行う社会福祉法人南高愛隣会様からは、新入職員の入職式や入職後の研修体制についてお話いただきました。

[講演内容骨子]:緊急事態宣言が出た4月上旬、新入職員には12日間の自宅待機をお願いしたという。その際、オンラインでもつながることを大切にし、オンラインで朝礼や夕礼を行うほか、eラーニング教材を使って自宅学習を実施。さらには、日誌を通じてその日の振り返り機会を設けることも行い、法人と新入職員とのコミュニケーションツールとした。また、入職式もオンラインで実施。各地区から参加が可能となったことで、長崎と東京をつないだりと、これまで現地での参加が難しかった役員も含めて、新入職員の入職をお祝いすることができたという。入職式から自宅学習までのオンライン化をスムーズに実施できた理由として、トップの理解と若手職員を担当者として設置したことを挙げた。(南高愛隣会様の取り組みの記事は→https://helpmanjapan.com/article/8922

 

 

第2部ではパネルディスカッションとして、4つのテーマに沿ってお話をお聞きしました。一部をご紹介いたします。シンポジウム参加者から事前に質問を受け付けてテーマを設定し、HELPMAN JAPANが各登壇者にインタビューをさせていただく形でお話をお聞きしました。(①~④が当日のテーマです。)

【第2部:パネルディスカッション】

「福祉・介護業界における未来・展望をよむ」

① 採用のオンライン化について
■最終面接前にフィードバック面談を実施(南高愛隣会様)

[ディスカッション内容骨子]:WEB面接を行う中で、学生は緊張していることもあり、本人の素が見えにくかった。作りすぎていたり、上手く言えなかったり。また面接時の質問の意図が伝わらないこともある。時間を確保しやすいというオンラインの利点を活用し、面接終了後、面接官によるフィードバック面談の時間を設けた。一緒に思考の整理をしている。学生からは「自分の考えや強みを引き出してもらうような選考を受けたことがなかったから驚いた」という声や、先生経由でその御礼があったこともある。

② 継続的な人材確保にあたっての採用要件(ターゲット)の変化について
■外国人人材の採用費用とポテンシャルについて(一燈会様)

[ディスカッション内容骨子]:技能実習生の場合、監理費を払ったりするなど、継続的な費用が掛かるため、新卒採用の費用に比べて採用コストがかかっているのが現実。一方で、受け入れた技能実習生は優秀な方が多く、法人の中で活躍する人材に育っているという。育成体制をきちんと整えた上で受け入れる事ができれば、介護未経験であったり、そもそも日本という異文化の中でも大きな戦力となってくれる。

③ 育成・定着について
■リフレクション面談と目標管理(小田原福祉会様)

[ディスカッション内容骨子]:定着施策として、リフレクション面談を実施している。1年目の到達目標を決めており、目標管理はそのリフレクション面談を通じて実施。面談では、目標管理だけでなく、業務調整も行う。例えば、法人内で働く82歳の最年長職員については、業務量などの調整を面談を通じて設計。このような業務の調整は、6年くらいかけて、職場風土に馴染むようにトライ&エラーで業務分解・役割分担を実施しているとのこと。

④ 福祉・介護業界のICT化について
■ICT活用と時間の効率化について(若竹大寿会様)

[ディスカッション内容骨子]:介護記録のスマート化、AIとコラボして危険の察知ができる見守りサービスなどを導入。様々な背景の職員や、外国の方も働いていることから、誰でも使えるユニバーサルデザイン・シンプル化を心がけてICTツールを開発している。例えば、記録システムでは選択肢で記録できるようにしているという。システムの段階から配慮しており、現場の職員からメンバーを募って、企業・大学の方も含めて開発。ICT化により作業時間を減らせたので、有給が1日増えた効果もあったそう。

HELPMAN JAPANより

今回、ご登壇いただいた各法人様の取り組みについて、共通点を挙げると『求職者や職員に寄り添い、その人の目線で採用活動・定着施策を実施している』ことが伺えました。ご紹介いただいた取り組みに通じる内容について、特に採用活動で参考としていただけるデータを株式会社リクルートキャリア・就職みらい研究所の調査よりご紹介します。

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●Web面接において良かった企業の対応についてWeb面接において良かった企業の対応を聞いたところ、「通信環境」に対する不安を改善するような事前連絡と当日のトラブル対応、「自分の話が伝わるか」という不安を解消する企業からの面接フィードバックなどがあがった。

▼【2021年卒 TOPIC】Web面接における学生の不安は3カ月で変化し、「通信環境」がTOPに。企業の対応は「学生の不安を取り除くもの」が好印象

https://data.recruitcareer.co.jp/column/20200529001/

また別の就職みらい研究所の調査では、学生はWeb面接において、「面接官がとても良い人で、面接時に会社の雰囲気などをお話していただけた」「人事の方が親身になって自分の話を聞こうとしてくれた」といった主観的な相性のすり合わせから、企業の志望意欲を確認している傾向がみられることが分かった。

▼《就職みらい研究所 REPORT》 Web面接で学生・企業のより良いコミュニケーションが行われるには?

https://data.recruitcareer.co.jp/study_report_article/20200902001/
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上記のほか、ご登壇いただいた法人様の共通点としては、コロナ渦という非常事態の中、日々の業務に追われる中でも『活動を辞めずに動き続けられたこと』が挙げられます。いかに活動を止めずに新しいことにもチャレンジできるかが、採用・定着活動の結果につながります。今回のシンポジウムを通じ、事業所の皆様の運営における今後の参考にしていただけたら幸いです。

 

オンラインシンポジウムに参加された法人様の声

最後に、実際にオンラインシンポジウムにご参加いただいた方の声をご紹介させていただきます。

▼ 実際のアンケートから抜粋(一部)

●まず、シンポジウムをオンラインで実施してもらったこと。このような参加は初めてでしたが、時間や移動の制約もなく有難かったです。自施設は主にネット、ハローワーク、広告媒体、情報を学校に配布するなどで採用活動をしています。オンライン導入に関してはノウハウや主体となるところ(組織上)が確立されていないこともあり出遅れています。これらが課題であると感じました。また、施設の職員育成、福利厚生を充実させたいと考えているところでもありましたので、それぞれの施設の取り組みは参考になりました。

●採用だけでなく、その先の定着や教育も考えていかなければならないと痛感致しました。また、採用担当の現場理解が乏しいところは採用したい人材を採用できない、採用しても定着しないと感じました。

●新しいものに積極的に取り組む方向性について新たなエビデンスの一つになりました。

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【文: HELPMAN JAPAN 写真: HELPMAN JAPAN】

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