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漫画ヘルプマン!

2017.07.07 UP

笑わせたくて、うずうずして辛抱できない。“生きててよかった”といわずにはおかない……それがおまえだ。

あらすじ&作品紹介

主婦・山重茜は、パートを探そうとスーパーで“ホームヘルパー”の求人チラシを手に取りヘルパーステーションを訪ねた。

「介護は人手不足」だと思いこんでいた茜だったが、スタッフからホームヘルパー1級・2級の資格は2012年度末に廃止され、“初任者研修”という新たな制度がスタートした事で、研修を受けないと働けないことを知り衝撃を受ける。

一方、妻に先立たれ息子夫婦と分かれた独居高齢者の松島大吉は、制度改定により“要支援”に介護度を下げられ、掃除、洗濯、家事の援助を受けられなくなる。

その為、義娘が3週間に一度、大吉の生活援助のため訪ねて来るのだが、口うるさい義娘を嫌っていた。

フリーの介護士・恩田百太郎の実家の弁当屋を切り盛りする母・美都子は、“なでしこ5”という地域支援事業を立ち上げ、大吉宅にも弁当を届けるため訪問していた。

ボランティアは無償という固定観念を持っていた茜は、美都子と出会い、“有償ボランティア”の存在を知る。

介護ミスのトラウマから魂が抜け落ちた百太郎は、復活を願う旧友で介護総合情報センターを営む神崎仁や宝来みのりの支援もむなしく、母に実家の弁当屋を継ぐと言い自宅に引き籠っていた。

そんな百太郎に母は、介護のプロとして大吉の生きる気力を取り戻すよう頼む。

ヘルパーの仕事に興味を持った茜は、仕事内容を詳しく訊くため介護総合情報センターへ。

そこで仁から、「ヘルパーの最大の仕事は、生きる意欲を掻き立てること」とプレッシャーを掛けられ、後退りしてしまった。

仁は引き籠もる百太郎を無理やり連れて茜の住む団地へ。

仁は茜に、百太郎を同行者に付き添わせ「ヘルパー体験」を提案。

寝耳に水の企画に、百太郎は動揺する。

高齢者に対して血も凍るような冷徹な介護保険制度改正だと怒りを露わにする仁は、大吉の様な高齢者を救うため、有償ボランティアのあり方、そして地域支援の未来を睨み、介護素人の茜の存在や、煮え切らない百太郎を復活させるため、作戦を決行する――!

ヘルプマン!!主人公


恩田百太郎(おんだももたろう)

恩を百受ける男、恩田百太郎。介護を通じ、高齢者の圧倒的な知識や経験に学び、それを原資に、介護業界の矛盾を、等身大の高齢者視点で改善しようとする破天荒な青年。介護業界の主人公は高齢者自身とするがゆえに、介護保険制度や固定観念と日々対立。現在は、フリーの介護士として働き始める。
神崎仁(かんざきじん)

矛盾に満ちた介護業界の構造と闘う社会福祉士。介護福祉士、ケアマネジャーとキャリアを積む。ケアマネジャー時代に独居の在宅高齢者から頂いた“おしるこ”の温かさに触れ、目指す未来が明確に。人と社会をつなげるために日夜奔走中。現在は、介護の可能性を探るためショッピング施設内に地域の住民や機関・団体などをつなぐ「介護総合情報センター」を開設。

編集者からのコメント


未曾有の高齢社会を支える制度の崩壊!?

本作は、第6巻、第7巻「密愛編」の続編です。主人公の恩田百太郎が直面した介護ミスによる事故のトラウマは、第8巻でも引きずり、精神的ショックは癒えないままです。百太郎がどう復活していくかを追うだけでも見ものですが、今回は「介護ボランティア編」というテーマからも連想できるように、高齢化社会の中でボランティアの新たな役割についてフォーカスしています。

高齢者の急増で介護保険制度だけでは支えられなくなった時代が本格的に到来し、これまでとは異なり、制度による手厚い生活援助もままならなくなったため、今日本各地でで様々なオリジナリティーあふれる高齢者支援が始まっています。

本作では、超高齢社会により、「公助」として始まった介護保険制度が限界に達し、それにより溢れてしまった多くの高齢者達に、新たな支援として産声を上げた有償サービスと、それに抵抗ある高齢者の家族達を描き、既にただの助け合いだけでは成り立たなくなってきた「共助」の部分について問題提起したストーリーとなっています。

作中、介護のプロ達の視点、介護素人の視点、高齢者の家族の視点と多角的に描かれ、有償でボランティアする事で起こりうる課題や問題にリアルに迫っています。

熟読必至!ぜひお手にとってみてください。================================================
★ヘルプマン!! Vol.8 介護ボランティア編
価格:691円(税込)

【著者】くさか里樹 【発売日】2017年7月7日 【ISBN】978-4-02-331613-3 【発行】朝日新聞出版

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