漫画ヘルプマン!
2014.11.13 UP
あらすじ&作品紹介
有料老人ホーム「おはなばたけ」で百太郎と仁が見たのは、入居前には、カラオケスナックで歌い、庭作業をし、女性にもちょっかいを出すほど元気だった老人、服部九作の変わり果てた姿だった。
有料老人ホームは介護施設と違い、法律に縛られることなく、“自由”なサービスができる。しかし逆に、ルールがないからこそ、「何もしなくても罰せられない」。この闇の中で服部は、職員に心ない扱いを受け、心身ともに衰弱していた。
「おはなばたけ」の実情に憤る百太郎と仁。仁は県庁の小池一郎に声を掛け、改善のための「監査」を依頼する。しかし、過去に行政指導の名のもと悪徳事業所を閉鎖に追い込んだ結果、高齢者たちの行き場をなくしてしまった経験から、慎重にならざるを得ない県庁。万策尽きたかに思えた小池の脳裏に浮かんだのは、好物の飲み物“いちごミルク”の差し入れに涙する服部の表情だった。そして同僚に投げかけたひとつの問いが、県庁の重たい歯車を動かす―。
有料老人ホームと介護施設。両者に関わる法のスキマをついて行われる業者の不正。超高齢社会に生まれた新たな闇が描かれます、頼りなげだった県庁職員、小池の人間的成長にも注目です。
ヘルプマン!主人公
恩田百太郎(おんだももたろう)
恩を百受ける男、恩田百太郎。介護を通じ、高齢者の圧倒的な知識や経験に学び、それを原資に、介護業界の矛盾を、等身大の高齢者視点で改善しようとする破天荒な青年。介護業界の主人公は高齢者自身とするがゆえに、介護保険制度や固定観念と日々対立。
神崎仁(かんざきじん)
矛盾に満ちた介護業界の構造と闘う社会福祉士。介護福祉士、ケアマネジャーとキャリアアップし、現在社会福祉協議会に属している。ケアマネジャー時代に独居の在宅高齢者から頂いた“おしるこ”の温かさに触れ、目指す未来が明確に。人と社会をつなげるために日夜奔走中。
編集者からのコメント
26巻に引き続き、初の役人側からの視点で描いた「監査編」27巻。超高齢社会に備え、人間の“尊厳”と、官民の在り方について深く掘り下げた本作は、「ヘルプマン!」ならではの深い闇と一縷の望みが凝縮されています。また、連載11年間の集大成でもある27巻のクライマックスでは、作家くさか里樹氏の思いの詰まった問いかけも作中に盛り込まれており必読です!
団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降、私たちはどう生きるべきかを示す「ヘルプマン!」は、講談社「イブニング」から、「週刊朝日」に連載の舞台を移し、2014年12月22日合併号よりリニューアル連載を開始します。タイトルは「ヘルプマン!!」。第一弾のキーワードは“蘇生”です。お楽しみに!
読者からのコメント
■行政があーだこーだいうより、この作品を読んだほうがはるかに理解できるのにって思わせる作品です!
東京都 学生 15歳 男性
■“明日は我が身”として読んでいます!
福岡県 主婦 52歳 女性
■人として大切なものを思い出させてもらっています
新潟県 自営業 48歳 男性
■介護業界には百太郎が沢山います!
千葉県 専門職 32歳 男性
★ヘルプマン!(27) 監査編
価格:552円+税
【著者】くさか里樹 【発売日】2014年11月21日 【ISBN】978-4-06-354544-9 【発行】講談社 イブニングKC
イブニング2014年12号~20号に掲載された作品を収録しました。
【文: 小林 景悟(あらすじ&作品紹介)】