漫画ヘルプマン!
2014.03.31 UP
あらすじ&作品紹介
社会福祉士として研修会に参加するため、東北地方を訪れた神崎 仁。
午後2時40分台、喫茶店にいた仁は巨大な地震に襲われます。倒壊する街並み、揺れに続いて襲いかかる津波、ライフラインの大部分が破壊され、外部からの救援もままならない震災の初期段階。誇りと自信を持って福祉にたずさわってきた仁ですが、この時ばかりは「オレは……無力だ……」と絶望に沈みます。
しかし“人間”は彼が思っていたよりずっとタフでした。被災者同士が励ましあい、会話をかわし、たった一人のためにみんなが駆け回る。その善意の輪は地域ネットワークにまでおよび、被災地で孤立しかけた在宅高齢者にも“ヘルプマン”たちの手と声が届くようになります。
これまでも作中で法改正など現実の動きをすばやくとりあげてきましたが、この巻では東日本大震災の現場が舞台です。人間同士の助けあい、生き抜くための底力、それらが仁の視点を通じて鮮明に描かれています。
ヘルプマン!主人公
恩田百太郎(おんだももたろう)
恩を百受ける男、恩田百太郎。介護を通じ、高齢者の圧倒的な知識や経験に学び、それを原資に、介護業界の矛盾を、等身大の高齢者視点で改善しようとする破天荒な青年。介護業界の主人公は高齢者自身とするがゆえに、介護保険制度や固定観念と日々対立。
神崎仁(かんざきじん)
矛盾に満ちた介護業界の構造と闘う社会福祉士。介護福祉士、ケアマネジャーとキャリアアップし、現在社会福祉協議会に属している。ケアマネジャー時代に独居の在宅高齢者から頂いた“おしるこ”の温かさに触れ、目指す未来が明確に。人と社会をつなげるために日夜奔走中。
編集者からのコメント
3.11(東日本大震災)当時、著者が介護業界の方々とともに被災地入りし、実情を体感した意欲作。大黒柱一本以外全てを流されながらも、やり直しを決意した旅館の主と夜中酒を酌み交わし、この大事態に最初に生活支えていたのは介護士だった事を聞きました。読者からは賛否両論がありますが、一方で当事者達から、「オレたちはいつまでも被災者じゃない」、「作家は勇気を持ってこの震災を描くべきだ」と、力づけられました。
★ヘルプマン!(21) 震災編
価格:552円+税
【著者】くさか里樹 【発売日】2012年07月23日 【ISBN】978-4-06-352424-6 【発行】講談社 イブニングKC
イブニング2012年6号~14号に掲載された作品を収録しました。
【文: 小林 景悟(あらすじ&作品紹介)】