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HMJ活動紹介

2022.05.11 UP

漫画『ヘルプマン!』これまでの軌跡と介護業界のこれから/イベント開催報告

2022年3月28日に『HELPMAN JAPAN』は、2021年秋に一区切りを迎えた漫画「ヘルプマン!」への感謝の意を込めて、オンラインイベント『ありがとう!「ヘルプマン」介護業界を見つめ続けた18年間』を開催。当日は、漫画に登場した『ミライ塾(現:ミライ道場)』『注文をまちがえる料理店』のほか、特別ゲストをお呼びし、18年間における介護業界のプラスの変化を振り返りました。今回は、当日のイベントの様子について概要を報告します。プログラム内容など、詳しく知りたい方は、HELPMAN JAPANへお気軽にお問い合わせください。

目次

HELPMAN JAPANと漫画『ヘルプマン!』の10年以上続くご縁
「漫画『ヘルプマン!』はもう古い!」と言われ、時代の変化を感じた
医療・教育・介護支援専門員、それぞれの立場からみた漫画「ヘルプマン!」について
『介護の専門家100人ではなく、介護の経験者を1000人つくる』という考え方に共感
大きな花を育てて、遠くの方へ種を届けるように、コンセプトを知っていただくことが僕らの仕事

 

HELPMAN JAPANと漫画『ヘルプマン!』の10年以上続くご縁

当日のイベントは、HELPMAN JAPANがこのイベントを開催する背景をお伝えすることからスタート。漫画家のくさか里樹先生(以下、くさか先生)と株式会社リクルートHELPMAN JAPANとの間には、約12年前の2010年からご縁が続いています。2010年の当時、若年層の方々にとっては今以上に介護の仕事は積極的な選択肢とされていませんでした。そのような状況を変えていこうと、プロジェクトが始動。その際、若年層の求職者が介護の仕事を身近に感じられるような工夫ができないか、例えば“漫画”を通じて介護のイメージを変えることができないかと考えていたところ、漫画『ヘルプマン!』と出会いました。ぜひ漫画『ヘルプマン!』とコラボレーションさせていただきたいと、くさか先生にお願いさせていただいたところ、ご快諾をいただき、そこから『HELPMAN JAPAN』という名前で活動がスタートしました。
そして、漫画の連載が2021年秋にひと段落したとお聞きし、これまで沢山お世話になって来たくさか先生にぜひお礼を伝えたく、イベントを開催する運びとなりました。

本イベントの開催にあたり「漫画が始まってからこれまでの18年間を振り返ることで、介護業界にプラスの変化を与え、業界を率いてくださった先生の功績について改めて敬意を表し、その感謝の気持ちを表すことで恩返しをしたい」という想いが込められています。

 

「漫画『ヘルプマン!』はもう古い!」と言われ、時代の変化を感じた

イベントの冒頭には、オンラインによるレクリエーションを実施。当日は、吉本興業の「よしもとお笑い介護ブ!」部長のspan!水本様に登壇いただき、グーチョキパー体操を教えていただきました。

その後、司会者対談として、くさか先生が語る「漫画『ヘルプマン!』18年間見つめてきた介護業界の変化」と題し、お話をお伺いました。

一部、対談の様子をお伝えします。「『ヘルプマン!』を18年間続けられた理由は、取材をする中で『介護の仕事はなんてかっこいいんだ』と思ったから。その魅力に惚れ、応援したいという想いで描いてきました」「凄いと思ったケアの事例が、『ブラジャーばーちゃん』。自分のお気に入りの男性介護職にだけ心を許していた、とあるおばあちゃん。その方が亡くなる前、息苦しいという声を聞いて、看護師がブラジャーを外そうとしたら、お気に入りの介護職が『ブラジャーを外しちゃダメ!』と叫んだそう。最終的に、その介護職がブラジャーのワイヤーを抜いて、おばあちゃんの大切なもの(アイデンティティ)を守ったんだそうです。日ごろから深く接している介護職だからこその事例だと思います」「18年間の介護業界の変化としては『ヘルプマン!はもう古い!』と言われたんです。そう聞いた時に、ヘルプマン!を超えた考えが生まれて、介護業界が進化しているということを感じました。以前の介護業界にあった『古い体質に挑む』という時代が変わり、面白い・新しい取り組みが生まれていると感じます」(くさか先生)

 

医療・教育・介護支援専門員、それぞれの立場からみた漫画「ヘルプマン!」について

イベントの中では、くさか先生に縁のある方3名の方から、メッセージをいただきました。

「私が漫画『ヘルプマン!』と出会ったのは、2009年頃。旅行先のタイ・バンコクで友人から、「バンコクで話題になっているコミック」と紹介されたのが最初でした。今手元には、『ヘルプマン!』の中国語版、ハングル版、そしてタイ語版が数冊ずつあります。日本だけでなく、各国で愛読されていることが伺えます」(色平さん)

「『ヘルプマン!』のリアリティは群を抜いている。まだ一度も実習に出たことのない学生や認知症のある利用者に出会ったことのない学生でも、イメージを膨らませるにはもってこいの教材。私は15年以上『ヘルプマン!』を使って授業を進めています」(八木さん)

「ケアマネージャーの仕事こそ『ヘルプマン!』だと思っています。正解のない答えを、あきらめずに探す仕事ですね」(山下さん)

 

『介護の専門家100人ではなく、介護の経験者を1000人つくる』という考え方に共感

イベント後半には、漫画を超える事例として、漫画ヘルプマン取材記の中にも登場された2組の方をお呼びして、トークセッションを実施。テーマの1つ目は、『ミライ塾(現ミライ道場)』。株式会社介護コネクション 代表取締役 奥平幹也 様、株式会社Salud 代表取締役 中浜 崇之 様にご登壇いただき、漫画に出た際のお話をお聞きすることができました。一部、トークセッションの様子をお伝えします。
「はじめは本屋で漫画を見つけ、その後Facebookでくさか先生を見つけ友達申請をしたところから始まったご縁(ミライ道場様)」
「ミライ塾に関心を持った理由としては、WEBの記事で『介護の専門家100人ではなく、介護の経験者を1000人つくる』という考え方に共感したからです!(くさか先生)」
「介護は人間の総合力や哲学を学び、身に付けられる場所。そのような方を育てることも目的としているミライ塾。この取り組みをきっかけに、介護へのハードルが下がり、介護業界への呼び水になったらと思った(くさか先生)」という言葉をいただきました。

 

大きな花を育てて、遠くの方へ種を届けるように、コンセプトを知っていただくことが僕らの仕事

2つ目のトークセッションは、『注文をまちがえる料理店』。株式会社大起エンゼルヘルプ 介護事業部部長/一般社団法人注文をまちがえる料理店 理事長 和田行男 様、株式会社小国士朗事務所 代表取締役 小国士朗 様にご登壇いただきました。一部、トークセッションの様子をお伝えします。
「和田さんを除いた私たちは、介護については素人集団。私たちができる一番大切なことは、想いやコンセプトを伝えること。想いやコンセプトを伝えることが僕らの一番得意なことだった。「間違えちゃったけど、まあ、いいか」というコンセプトをどれだけ大きく面白くして、それを広く多くの人に知っていただくか。例えると、大きな花を育てて、遠くの方へ種を届けること。そして、またその種を用いて、それぞれの地域で、それぞれのやり方で花を咲かせていただく、ということを目指していました」「この取り組みを通じて、社会の側が思わず近づきたくなる、その結果として、社会とのギャップを少なくしていく橋渡しができたらと思っている」(注文をまちがえる料理店様)
「エンタメ・おしゃれという印象。楽しいということがモチベーションの源泉になっていて、一回で終わらず、持続していくには必要だと思う。そして、いろんな人が楽しく一緒に参加できる。介護に楽しいということが欠けていると、人が寄ってこないので、楽しむって大事」(くさか先生)

イベントの最後には、くさか先生へ宛てた会場のみなさまからのメッセージをプレゼントしました。

「負のイメージばかりが先行する介護業界に目を向けていただき、感謝しかありません。今の仕事に就く前に何となく漫画を手に取り、仕事に就いてからまた改めて読み、この仕事に誇りを持てました。今の仕事を天職と思い、これからも精進します」
「介護の仕事を始めてから22年になります。『ヘルプマン!』は 出会ってから何度となく繰り返して読み、そのたびに新たな発見をしています。介護という世界を発信してくれたことに感謝しています。ありがとうございました!」
「くさか先生、本当にお疲れ様でした。最初にお目にかかってから10年以上が過ぎましたが、先生が伝えようとした介護、いや『人間観』がしっかり現場に根づきつつあると先日若い人と話して確認しました。大変お世話になりました。これからもますますのご活躍を期待しています」

くさか先生からも温かいお言葉をいただき、イベントは終了しました。

イベント参加者様からのアンケートでは、

「皆さんの熱い思いが物凄く伝わりました。 今後の医療業界では他職種連携が非常に重要になってくると思います。 他職種の理解とリスペクトが重要で、その為には意思疎通を図る場を持って、やって行かなければと、改めて強く思う様になりました」
「登壇者の方々の先生へのリスペクトがすごかった!介護の新しい世界が感じられてわくわくしました。ありがとうございました」
「先生は、気さくさでありながらも知識があふれ素敵な人なんだと肌で感じることが出来ました。漫画に出てくる人たちが本当にいて活躍されていること、漫画に出来なかったが入居者を強く、厚く思う人たちがたくさんいることがうれしかった。もう一度『ヘルプマン!』を教科書として見てみます」という言葉をいただくことができました。
漫画『ヘルプマン!』は終了となりましたが、私たちHELPMAN JAPANは、介護業界でひとりでも多くの人がイキイキと働いているという世界を目指し「ヘルプマン」という名前を背負って活動をつづけます。

くさか先生、ありがとうございました!

【文: HELPMAN JAPAN 写真: HELPMAN JAPAN】

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