HMJ活動紹介
2015.12.24 UP
<未来をつくるkaigoカフェ>「健康寿命をのばすには?」に行ってきました
介護にかかわるすべての人が、立場や役職を離れて対話する場「未来をつくるkaigoカフェ」。11月は、「健康寿命を延ばすためには何か必要か?」というテーマで開催されました。在宅医療を推進している佐々木淳さん(医療法人社団悠翔会 代表医師)を座長に、7名のプレゼンターが“健康寿命”について講演をされました。当たり前だと思っている事をいかに実践するか、専門職とどのように関わればよいのか、ITや最新の理論をどう自分の健康に活かすのか。新しい視点から、自分の健康を見なおせる会となりました!(※プレゼンの内容は、編集部で要約をしたものです)
高齢者そのものの定義を変えて、「日本は75歳になるまで働く国」となれば、高齢化社会は怖くない(佐々木)
▲佐々木淳さん/医師 医療法人社団悠翔会 代表医師(人口ピラミッドの写真を指して)、僕が中学生のころは日本の人口が皆若かったんですけど、僕が80歳になる頃には日本の中心は70歳・80歳になると。高齢者が増えることで社会は豊かになるんだって嬉しいな考え方もありますけど、一方で私たちは、高齢者に支えが必要だってことも知っています。
1990年には、1人の高齢者を生産人口5.12人で支えるという事が出来ました。2010年私が研修医をしている頃には、生産人口2.6人で1人の高齢者を支える状況となりました。皆さん自分の収入を考えて、自分2.6人で一人の高齢者を支えるって考えたことありますか?私が80歳のおじいちゃんになる2060年、なんと生産人口1.2人に1人です。それを支える仕組みが地域包括ケアシステムと言われてるんですけど、そんなの不可能だって僕は思っています。
75歳の高齢者でも元気に働いている人はいる。生産人口を、20歳~75歳に変えて考えてみてはどうでしょう。そうすると1.2人と言われていたものが、2.7人で1人を支えるようになります。これは2010年と同じ割合です。年金を貰うようになってからも働く人は働いて「日本は75歳になるまで働く国」となれば高齢化社会は怖くない。皆さんはどう思いますか?
日本の男性の平均寿命が79歳ですが、健康寿命は70歳と言われています。寿命と健康寿命のギャップが男性は9年、女性は12年です。健康でいられない期間が長いと感じるかもしれませんが、世界比較をすると日本は健康寿命が長い長寿先進国です。
多くの高齢者は低期高齢者から5~10年は入退院を繰り返します。これからは、それとは違うサクセスフルエイジングを目指します。その人の持っている機能を最大限ひっぱり活かすということですね。病気になってからでも障害になってからでもいい。
生産人口の上限を74歳にして高齢者の定義そのものを変える。平均寿命と健康寿命のギャップを小さくしていく。大事なことは、私たちがいかに自分の健康を年齢を重ねてからも維持していくのか、それを意識しておくのかということです。
健康寿命を延ばそうという限りは、スポーツ人口というのは減らないと思います(藤巻)
▲藤巻弘太郎さん/歯科医師 とどろきファミリー歯科クリニック 院長健康寿命に関わるスポーツ医学とスポートロジーということでお話しさせていただきます。
スポーツ医学は、トップアスリートの競技力向上や、パフォーマンスロスの軽減、スポーツ障害になった人をいかに早くフィールド等に戻せるかということを突き詰めたものです。これは総合医学なので色んな分野の医学がはいっています。
スポートロジーは最近できた言葉で聞きなれないですよね。スポートロジーは、高齢者を対象に絞っている訳ではないですが、生活習慣病の予防や治療、それから介護などを包括的におこなう分野になっています。これは健康増進としての第一次予防、二次予防、三次予防というのが大事になってきます。
まず、スポートロジーの観点から運動と栄養についてお話します。
こちらに数字が並んでいますが、基礎代謝量というところを見てください。実は男性も女性も18~49歳まで、そんなに変わりません。ところが、体重だけ増えている。これはなんですかね。ここに、僕の考える健康寿命に対しての知恵が入っています。
さてところで、1日にどれぐらいのタンパク質量が必要でしょうか。ここで大事になってくるのが、活発に活動していない人とトレーニングをしている人との差です。タンパク質は、活発に活動していない人は、体重1kgにあたって0.8kg。しかし、筋トレをしている人はその1.5倍から2倍のタンパク質が必要になります。
体重が増えたからタンパク質量が必要になってくるのかというと、そうではない。ちゃんと運動して、その筋肉にあった量のタンパク質をとるということが大事なんです。つまり、ちゃんと運動していれば、10代であろうと70代であろうと、理論上は同じ量のタンパク質量が必要だということです。
お近くの高齢者の方のお言葉を思い出してみてください。「私はこの頃年取ったから、食べなくていいのよね」との言葉。これは本当でしょうか?もしかしたらそれは、運動をしてないで筋肉の量が減ってしまったからだと考えられるかもしれません。でも体重は変わっていない。ここを改善しないと何も健康に繋がらないと思っています。
さて、そろそろ歯医者に戻ります(笑)
スポーツと歯医者とどう関係があるのかというと、僕が研究していたり選手に話す項目で大体に共通するキーワードは、咬合と、口腔と、唾液。
噛み合わせと一言でいうことが多いんですけれども、噛み合わせと咬合はちょっと違います。噛み合わせは食べること以外にも重要な役割があります。重心の移動、歩行の再現性、脳波、自律神経などに深く関与しているのです。
噛み合わせってどれくらいで変化が起きているのか。僕らは8ミクロン~25ミクロンの咬合紙ってものをよく使います。日本人の髪の毛が約8~12ミクロンなので、それと同じか倍ぐらいの厚さの中で歯を見ているんですね。
自律神経を図る計器を使って、12ミクロンずつ、噛み合わせとの関連をみていったのですが、やはり変化が現れました。噛み合わせと脳波の関連性を睡眠の面から調べたところ、噛み合わせをよくすると波の小さいベータ波からリラックス時に表れるアルファ波、そして深いシータ波に変わることが分かりました。
スポーツの面でも、靴のインソールを作るときに使う足圧測定器や、ジャイロセンサーと呼ばれる腰の動きと歩いた時の衝撃をしらべる測定器で、やはり噛み合わせとの関連が出てきました。
歯医者さんに行ってみて、噛み合わせに違和感があるのに歯医者から「大丈夫それ、すぐ慣れるから」と言われたら、違う歯医者さんに行きましょう(笑)。
最後に、僕がこれからやりたいことは、民間版NTC(ナショナルトレーニングセンター)や民間版JISS(国立スポーツ科学センター)の設立です。健康寿命を延ばそうという限りは、スポーツ人口というのは減らないと思います。歩いたり、ボーリングをすることもスポーツです。スポーツ医学の意義として、パフォーマンスロスを減少させることができます。それと、スポートロジーセンターとしてちゃんと予防できる医学を行うことが大切。医師や歯科医師だけでなく理学療法士や柔道整復師、薬剤師や栄養士などが複合的に一人の人間を診るっていうことが、これからの健康寿命にも関わってくるんじゃないかなと思っています。
一次予防が効く学童期の教育をする、親世代に健康の教育をする必要がある(白岡)
▲白岡亮平さん/医師 医療法人社団ナイズ理事長・キャップスクリニック代官山T-SITE 院長みなさん健康は大事だと分かっているけど、実際には生活習慣病にかかる方が多いですよね。健康寿命を延ばすためには、人の行動について考える必要があると思います。大事なのは、個人の生活の質が向上するということ。そして、社会全体の社会保障費が削減されること。感染症・多産多死の時代から生活習慣病・高齢化社会の時代になりました。病気になってから治療するということをやってきたんですが、ずっとイタチごっこになっていました。なので生活習慣病の特徴を知ってそれを予防することが大事になったんです。
外発的動機付けと内発的動機付け。行動の要因が強制や罰則などの人為的な要因によるものが外発的動機づけと言い、行動の要因が興味・関心・意欲によるものを内発的動機付けと言います。外発的動機付けは一時的ですが、次第に興味関心をもって内発的動機に繋がるとも言われています。制度やサービスの中に、この外発的動機付けと内発的動機付けを上手に組み込むことが生活習慣病の予防には必要だと考えています。
では誰をターゲットにするか。ライフステージからみてみます。私は普段小児科医をしていますが、この時期に生活習慣が決まりやすいので、肥満にならないようここでケアすることが必要だと思っています。青年期までの一次予防が一番効果があります。学童期の教育を30~40代の親世代に健康の教育をする必要がある。この年代は介護をする側の年代でもあるので、とても重要です。
私たちの取り組みとして、「治療」「予防」「教育」ということを柱にしてやっています。(30~40代の)親世代の医療不信が大きいと感じるので、医療機関側がアクセスしやすくしたり利用者に寄り添う姿勢でいることが大切だと思っています。今の保険診療は予防には使えないんですけど、ここ(クリニック)では予防に力を入れています。そのほか、セルフメディケーションを推進する取り組みをしております。親世代の健康リテラシーの向上をメインにやっています。代官山の蔦屋書店のビルにあるキャップスクリニック代官山T-SITEを中心に、江戸川区と葛飾区で、365日朝から夜まで医療を提供しています。
「Club Fitness Daikanyama T-SITE」(メディカルフィットネス施設)では、生活習慣病の予防をメインに運動プログラムの提供を行っています。医療法改正で、医療法人が営利活動をしてもよくなったんですね。地域の方の健康を守るための活動を1つやっています。
もう一つ、メディカルフィットネスラボラトリー株式会社という医療と運動をつなぐ事業を立ち上げました。データフィットネスというのをやっておりまして、医療・運動・栄養のデータを活用して、人の行動変容をインセンティブ設計であるとかゲーミフィケイションだとか、数値の変化を自分で楽しむといった理論を使って運動を推進していく活動を行っております。青年期・壮年期の方は企業に属している方が多いので、企業の中での健康診断データを生かすデータヘルスを行っております。ウェアラブル端末で人の行動変容を起こすことが、今後医療・健康分野で必要になっていると感じます。
健康事業や活動って、地味でつまらないというイメージが多いと思うのですが、それを楽しめるような事業をしていきたいと思ってやっています。
ビールを飲んじゃいけないといっても聞かないけれど、ビールを飲む体の中がどうなっているのかを伝えると、お酒を減らしてくれます(稲見)
▲稲見絹子さん/保健師 吉川市 いきいき推進課 介護認定係皆さん保健師に会ったことはありますか? 自治体に勤める前は病院で働いていたのですが、入退院を繰り返したり、保健指導をしてもさらに悪くなって病院に来られる方がいました。そんな姿をみて普段どんな生活をしているのか見たいな、病院に来る前にできることはないかなと思い、吉川市で保健師をしています。
市の健診で、ある住民の方との出会いがありました。「待たせやがって!帰るぞ!」と怒鳴っていた日雇いのトラック運転手の方です。時間までに届ける荷物があると。遅れたら、次から仕事をもらえないそうです。話を聞いてみると「運転している時なにかを食べていないと眠くなるんだよ。でもごはんを食べるともっと眠くなる。だから一晩で飴玉を二袋舐めるんだ」と相談されました。病院に行くお金も時間もなくて、会社から健康診断結果の提出を求められてこちらに来たそうです。
診断結果は、高血糖、高血圧、高脂血症でした。お話をきくうちに次第に仲良くなれ、飴をガムに変えたり、元調理師さんだったので献立を変えることによって、改善されました。みなさん、出来ることを、その環境の中で精一杯なさってくださることに感動し、とても勉強になりました。大切なことはすべて住民の方が教えてくれました。
住民の方とお話をしていると、こんなことに気がつきます。
・身体の状態を知っている人が少ない
・遅い食事、寝れないなど、変えたくても仕事等の事情があり、改善できない
・「あの人は大丈夫だけど、自分は危ない」など、体質による自分の健康の条件が分かっていない
これらを解決するために、訪問指導や学習座談会を行っています。あれはダメこれはダメってことは伝えていなくて、ひたすら話を聞いて情報を伝え、自分が選んでくれるようにしています。そうしないとあまり効果がないんです。例えば、ビールを飲んじゃいけないといっても聞かないけれど、ビールを飲んでいる間は、肝臓がアルコールの処理に追われて、血中に脂肪が追いやられ、中性脂肪が上がるのだと伝えると、勝手に自分で行動変容してくれます。
保健師の役割の1つとして、介護保険などの社会保障を守るため、国保データベースなどの分析も行っています。税収は減っているのに、年金、医療、福祉の社会保障費は増えています。住民が他人ごとにならないよう実態を伝え、健診結果は体からのメッセージであると気づけるような活動を目指しています。数値の羅列がどういう状態を表しているのか分からないという方に説明していますので、自治体の保健師を是非活用してください。
管理栄養士は、コレステロール値などのデータだけでなく体全体の状態を見てアドバイスをします(森田)
▲森田千雅子さん/医療法人社団悠翔会 訪問栄養士今回は、佐々木敏著 「佐々木敏の栄養データはこう読む!」から、「コレステロールは高い低いどちらが健康に悪いのか」ということでお話しさせていただきます。「コレステロールは高いほうが健康である」という論文が出されて以降、コレステロール論争が行われています。
5万人から6年間とった、脂質と死亡率との関連データをみると、コレステロール160未満の死亡率が一番高い。240~260が一番死亡率が低い。280以上が二番目に死亡率が高い。このデータを見る限りでは、コレステロールが低いほど死亡率が高いことが分かります。コレステロールが低い人は、ガンで亡くなりやすいこともわかります。コレステロールが低い人のほうが、ガンになりやすく、亡くなりやすいのでしょうか。
コレステロールが160未満の人は、どこかしら体の調子が悪い人です。栄養を吸収できなかったり、心臓が悪かったり、女性の活動が低下している可能性もあります。あるデータをみると、コレステロールの値が160未満の人は一年以内に亡くなる率が高いのです。コレステロールが低いから、一年未満に亡くなったのでしょうか。ガンになったのでしょうか。
いや、ガンになったからコレステロールの値が下がったと考えるのが普通ですよね。また、ガン以外の病気でも栄養状態が悪くなったりコレステロールが下がったりします。それの顕著なものが肝硬変ですよね。もちろん調査をしているときに悪性物質があると分かっていれば除外しますが、分からないまま調査対象に混じっていた可能性も否めません。
一年以内に亡くなった方を除いてもう一度データを作り直すと、コレステロール値160未満の人が一番死亡率が低くなりました。つまり、「コレステロールの値は、低いのは“危ない”のではなく低いのは“危ない状態”。高いのが“危ない”のではなく高いのが“危ない状態”」という理解が正しいと言えるでしょう。
コレステロールが高いから食べ物を制限しろだとか、低いからお酒を飲めなど、むやみやたらなアドバイスはしません。管理栄養士は、コレステロール値などのデータだけでなく体全体の状態を見てアドバイスをします。いまだに一日卵は半分までと言っているような栄養士はあやしいです。エビデンスとは、個人の状態と反芻してみて初めて意味のあるものになります。データは参考にするもので、状態を決定するものではないのです。
生きがいや居場所が満たされれば、介護が必要でなくなり、健康寿命がのびることもある(藤井)
私は、生きがいと居場所をつくることが健康寿命に深く関わっていると考えています。それにはレクリエーションが大切だと思っています。レクリエーションという言葉は娯楽や余暇といったイメージが強いですが、語源は「リ・クリエーション」。つまり生きている喜びを再び作り出す活動だと考えています。健康寿命とレクリエーションの関わりを考えたときに、対象者の主体性の程度が大きく作用します。主体性が高まることが重要だと考えます。
私が深く関わった事例を紹介します。園芸の事例です。Aさん72歳男性。中学卒業後に漁師となり、カツオ船に乗りました。30歳で船を作る溶接工に転身。2人の子どもを育てながら単身出稼ぎに出て、週末は自宅に帰るという日々を送ったそうです。40歳で高血圧で薬を飲み始めました。それと同時にタバコをやめて58歳のときに脳梗塞を発症。発見がはやく少しのリハビリですぐに仕事に復帰しました。その後62歳で仕事を引退し、64歳で2度目の脳梗塞を発症。二度目の脳梗塞では軽い言語障害と片半身マヒがあり、病院でリハビリを開始。退院時に、家族や病院は介護施設を勧めましたが、本人の強い希望で自宅で生活をしています。マヒが軽度だったこともあり自宅では家庭菜園をしながら過ごしました。奥さんの支援あり、横の畑を農家から借りて行うようになりました。
一つ変化がありました。近所の小学生が野菜に興味を持ち話しかけるようになったのです。もともと子どもが好きだったこともあり小学生との距離は縮まっていきました。小学生がよく遊びにくるようになって、読書感想文にAさんのことを書くようになりました。その感想文が見事入選。それをきっかけに、小学校の総合の時間で農業を学ぶ先生としてAさんが呼ばれました。
定期的に小学生がAさんの畑を訪れてAさんが農業を教えるという日々が繰り返される中で、なんとAさんの麻痺が完治するようになりました。言語障害も数段よくなり、スムーズに会話が出来るようになりました。しかもただ野菜を作って教えるだけでなく、季節ごとに学校でその野菜を食べる授業にも学校が声をかけ参加するようになりました。
家族や社会とのつながりや生きる目的が満たされ自己存在の意義が生まれ、生きがいへと変わっていきました。また居場所を見つけたのです。この小学校では総合的な授業の先生として、様々な技術をもった高齢者を受け持っています。このように生きがいや居場所が満たされ介護が必要となくなり、健康寿命が延びることもあると思います。
私は現在、70歳の女性と経済的に自立するための事業を立ち上げました。人生の経験や技術を活かすことで、方法次第で何歳でもお金を稼ぐことができます。そんな活動を増やすことで健康寿命は延びていきます。
健康寿命が望めないなら、体験・経験寿命を積み重ねる(横川)
▲横川敬久さん/NPO法人 laule’a 代表健康寿命というテーマを考えたときに、僕の側からは“経験寿命”ということを伝えられるんじゃないかと思いまして、そのことについてお話しさせていただきます。
健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく、生活できる期間」と定義されています。いま僕は神奈川県の藤沢市で、肢体不自由児の放課後の支援を行っています。この健康寿命の定義に基づくと、この子たちは「生まれつき健康寿命というものがない」ということになってしまうので、それよりも様々な経験を重ねることに価値があるという考え方でやっています。生まれつき健康寿命がないと捉えるというよりかは、経験を積み重ねることに価値があると考えています。
公衆の遊具で遊んだことのない子のために、空気を膨らませて大きくなる巨大遊具を輸入して施設におきました。しかし、経験がないのであの子たちは遊び方が分からない。娘が遊び方をその子達に教えてあげていました。
うちの事業所は放課後等デイサービスという障害児を対象とした事業所なんですけど、ネイルサロンを併設しております。福祉施設でネイルサロンをやりたいという方がこの施設に来てくれたんです。ネイルを利用児童にすると、帰宅後に親に「何をやってるの?」と聞かれて「今日はこういうことがあって、こういうことをして、、」って、爪を見せて話すようになるんですね。普段聞かれても「知らない。わかんない。」と答えていた子が。これは一つ意味のあることだなと思っています。プロの文楽の活動家の方が来てくださったこともあります。70人ぐらい集まってやりました。12月に訪問美容をやっている方にも来てもらう予定です。
娘が利用者と一緒に遊ぶようになってから、初めは「病気の子たち」と呼んでいたのが、次第に「○○ちゃん」と呼ぶようになりました。これが正しい見方だと思うんですよね。健康寿命が望めないなら、体験寿命・経験寿命を積み重ねるということが、今の僕の活動になっています。
◆この記事のレポーターは学生編集部の亀谷ひとみです。
人間科学部5年生。特養での社会福祉士の実習中、お昼にスマホをいじり、そこでHELPMAN JAPANを知ったことがきっかけで編集部へ参加。損保に勤める予定なので、できれば介護部門に出向して学んだことを活かしたいという野望があります。介護の世界には発見がつきません!毎回学ぶことが多く、楽しいです。
◆編集後記
“健康寿命をのばすには”というテーマ。自分の居場所となるコミュニティーをみつけて、生涯現役で働いてスポーツをして、子どもの健康も気遣って、信頼できる保健師や栄養管理士さんを探して、誰かの喜びのために行動する。。素敵な大人になれれば、健康寿命は延びるのかもしれないなと感じました。
【文: 亀谷ひとみ 写真: 近藤浩紀(提供:kaigoカフェ)】