HMJ活動紹介
2014.02.10 UP
ついに迎えたワークショップ最終回。この日は、外部から介護関係者やITベンチャーの若手経営者など、ゲストを招いての企画プレゼンテーションです。デモ機を使ってのプレゼンとあって、前回まで、紙の上でだけのアイデアだったものが、どんな姿で目の前に現れるのか。「未来ロボティクス学科」「デザイン科学科」の混合チームによる、ワークショップの成果をご覧ください。
開会宣言!
プレゼンテーション大会は、千葉工業大学の小宮一仁学長の開会の言葉からスタート。
続いて、富山健教授とabaの宇井 吉美さんから、ワークショップの主旨説明が行われました。このワークショップ最大の目的は、RT(ロボティクステクノロジー)を実社会とつなげるRTSP(RTシステムプロデューサ)を育成するための実践的カリキュラムをつくること。「ロボット産業が育たないのは、ロボット技術者がビジネスの訓練をしていないから。ロボットづくりが面白すぎて、技術者はそれで満足してしまうのが課題」と富山教授。このワークショップの成果を、プロジェクトをベースとした学びに生かしたいと熱く語ってくれました。
飯塚チーム・プレゼンテーション
助太刀ロボット「ロボ助」
というわけではじまったチーム発表。
本日の主役たちです。まずは飯塚チームから。前列中央、アドバイザーの飯塚裕久さん(ケアワーク弥生)。後列左から、竹村健悟さん(未来ロボティクス学科3年)、金子陽一さん(工学デザイン科学科3年)、海老根拓磨さん(未来ロボティクス学科3年)。
プレゼンターは、竹村健悟さんです。漫画『ヘルプマン!』を読んで1回目のワークショップに臨んだこと、1回目と2回目のあいだには実際の介護現場を訪れたこと、1回目・2回目のワークショップで話あったことなど、開発に至る経緯をわかりやすく説明していきます。
そうして生まれたロボットのコンセプトは、「孫」。そばにいても被介護者に不快感を与えず、逆にお世話をしてあげたいと思えるようなロボット。被介護者、介護者、家族、の3者を「助ける」という意味を込めて、助太刀ロボット「ロボ助」と名付けました。
ロボ助にできることは、大きく3つあります。
1、脈や体温を測ること 2、コミュニケーションすること 3、一緒にお散歩や買い物に行くこと です。デモ版では、駆動系にアイロボットルンバ研究開発キット、腕にはゲーム機のコントローラーなどでおなじみのジョイスティックを使っています。手を握るとセンサーで脈や体温を測ったり、腕を持ち上げると後をついてきてくれます。話しかけると、お返事する…ところまでは間に合わなかったので、学生さんの腹話術による実演。飯塚さん扮するおじいさん相手に、奮闘する「ロボ助」でした。
藤田チーム・プレゼンテーション
笑顔対戦ゲーム「笑劇」
藤田チームです。右から、アドバイザーの藤田英明さん(日本介護福祉グループ)、宮島佐輔さん(工学研究科デザイン科学専攻1年)、野島大輔さん(未来ロボティクス学科3年)、谷本靖裕さん(未来ロボティクス学科3年)。
プレゼンターは宮島さんです。こちらも開発の経緯を丁寧に説明していきます。
藤田チームがまず考えたのは、お年寄りの持つ資産(知恵や技術)を生かして、収入を得られるものができないか?ということ。センサー技術を使って、料理の味付けを再現したり、習字を教えたりするロボットは作れないかと考えていましたが、介護施設を見学に行って、もっとすごい資産を見つけました。
それは「笑顔」。
施設で出会ったお年寄りたちがほんとうにイイ笑顔をすることが、とても印象的だったのだそうです。笑うことで健康にイイ影響があるということも聞き、笑顔を生かすアイデアを考えはじめました。
そして生まれたのが、笑顔対戦ゲーム「笑劇」です。ここからは学生さんたちによるお芝居。トイレで用を済ませたおじいさんが、手を洗おうと洗面所の鏡の前に立った瞬間、突然カウントダウンがスタート。おじいさんは戸惑いながらも、とびきりの笑顔をつくって鏡に笑いかけます。数秒後、点数が表示されくやしがるおじいさん…。つまり、笑顔の画像をカメラで取り込んで、笑顔テンプレートと比較、点数化するというアイデア。インターネットでつなげば、世界中の人と対戦したり、とりこんだ笑顔の画像をデータベース化して健康管理などにも応用できるそうです。見守る飯塚さんと藤田さん。手前は、千葉工業大学の未来ロボット技術センター(fuRo)副所長 平井成興教授。
ゲストも参加しての
ディスカッション
プレゼンの後は、ゲストの方々と学生さんたちのディスカッション。介護現場の方やエンジニア、経営者など、プロの視点から貴重なアドバイスをいただき、みなさんの期待のほどがうかがえました。
ワークショップを終えて
各プレゼンの最後に、学生さんの感想が発表されましたが、「就職活動でも介護関連を見てみたい」、「現場の方の声を聞くことで、技術がどう役に立つのか意識できた」など多くのことを感じたよう。なかには、卒業研究として引き続き開発を続ける学生さんもいます。
今後、このワークショップの成果をもとにRTSP(RTシステムプロデューサ)育成のカリキュラムが練られていくそう。介護とロボティクスをつなぐ人材が、たくさんデビューする日が楽しみですね。本日のプログラム会場には漫画『ヘルプマン!』も。
【文: 鹿庭由紀子 写真: 友田光亮】