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犬との触れ合いで、高齢者の身体機能が向上したり、認知症が緩和したりする。そんな「ドッグセラピー」への注目が高まっています。

カギとなるのは、犬との信頼関係を通して自然と芽生える「この子を守ってあげたい」という使命感や、「役に立ちたい」という意識。それらがリハビリに直結するのだそう。

実際、岡山市のNPO法人「介護高齢者ドッグセラピー普及協会」の研究(※1)によると、普段から介護拒否をしがちだった高齢者が、「犬が来るから」という一言で、進んで入浴やひげそりなどを受け入れるようになったり、ある人はセラピードッグが来ると自ら起きてベッドに座るようになったり。挨拶や食事、日常生活への意欲が増すなど、ADL(日常生活動作)向上への効果は確かなようです。

さらに、北海学園大学の研究(※2)では、ドッグセラピーの導入で高齢者の通院回数が減り、結果、年間1,350億円を超える医療費削減につながるとの推計も。

これらの効果に注目したのが、介護大手のニチイグループ。セラピードックとしての資質が高いといわれる「オーストラリアン・ラブラドゥードル」という犬種を探し出し、ブリーディングをはじめ普及活動を行っています。この活動は、日本におけるドッグセラピーの普及を後押しするでしょう。

ただし、セラピードッグたちが健康かつ清潔な状態で活躍するためには、専門知識や技術を身につけたアニマルセラピストの存在が欠かせません。介護士自身がこうした知識を身につけることができれば、またひとつ、ケアの引き出しが増えることになるかもしれませんね。

※1 「ドッグセラピーによる認知症高齢者に対する生活意欲の向上とリハビリテーション効果の調査研究」
※2 「高齢者福祉施設におけるアニマルセラピー導入の医療費削減効果分析」
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文: 高木沙織(verb)
イラスト: 株式会社コットンズ
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