対談
「今月のヘルプな人」第8回(後編)/日本の介護をテーマにした漫画『ヘルプマン!!』(『週刊朝日』にて連載中)の作者・くさか里樹さんが、さまざまなジャンルの“ヘルプな人”と対談するコーナー。前編に続いて、プロブロガーのイケダハヤトさんとの対談をお届けします。この日、対談場所として訪れた高知県香美市土佐山田町にある「ほっと平山」は、小学校の校舎を再生した地域交流施設。平山地域に興味津々のイケダさん、くさか先生のリクエストで、地元をこよなく愛する施設長の門田さんもトークに参戦!?

福祉施設だけが介護じゃない

無題3
今日はせっかくなので、
ここ平山地区の話も聞きたいです。
「ほっと平山」にもずっと来たかったんですよ!
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じゃあ、施設長の門田さんにも登場してもらいましょう(笑)!
門田さん。「ほっと平山」は、廃校になった小学校の
校舎を利用した施設ってことですけど、
以前と地域が変わってきたことってありますか?
無題2
そうですね~。
まず、10年ほど前になるんですけど、
学校が休校になった後どうやって活用していこうかって話し合いがあって。
福祉施設にしようって意見もあったんですね。
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ふんふん。
無題2
でも、当時中心になっていたメンバーが、
「わしらはまだそんな年代じゃない。自分らのことは大丈夫だから、
他のところから平山に来てもらって交流しようじゃないか」って、
宿泊交流施設にすることにしたんです。
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へえ! そうだったんですか。
無題2
それが10年ほど経って地区の人口も減って、
ずっと老老介護を、ご夫婦や親子でされていた方もいたんですが、
もうちょっと「さすがに家ではよう看んな」ってなってきて。
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高齢化がかなり進んできた…。
無題2
病院とかに預けたりするんですけど、
そうするとずっと介護をしていた旦那さんなりが
急に張り合いをなくしてしまって。

1人暮らしだと食事を作るのもおっくうだし、
ご飯を食べてないって人や、1日誰とも会話をしていない
というような人がでてきたんですね。
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うーむ。それは心配ですね。
無題2
それはちょっといかんなっていうので、
前任者が「ほっと平山通信」という新聞をつくって、
月に1回、見守りもかねて各戸に配布しはじめたんです。

これが今では地域のご用聞きにもなっていて、
聞いた話のなかから、
「じゃあ、僕らお弁当つくれるから配食しようか」とか、
地域に向けて何ができるかって考えることが増えてきましたね。
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そういうことが、
自然に生まれてきたっていうのがいいですね~!

なんかね、その最初に福祉施設にするか、
宿泊所にするかって結構大きなキーですよ。
最初から福祉的な発想で考えて施設を作っていたら、
面白くないから人が集まらなかったかも。
無題3
なるほど。
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ここみたいに、みんなが集まって何かやってるところで、
年寄りに「ちょっと手伝って」って参加してもらうのがいいじゃない。
じじばばも役に立ってるっていう方が楽しいし。
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お年寄りが愛嬌をふりまける場が必要?

無題3
そういえば高知ってあんまり引退って概念がないですよね。
日曜市っていう農家さんが出店する
すごく楽しい街路市があるんですけど、
本当にこの人から買って大丈夫かな?って
心配になるくらいのおばあちゃんが売ってますよね(笑)。
無題2
あれ自体がリハビリっていうか。
仕事がしゃっきりなる原動力だから、
80代、90代でもしゃっきですもん。
計算とか早いですもん。
無題3
おつりの計算とか
早くてびっくりしますよ(笑)。
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確かに(笑)。
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僕、東京で多摩市に住んでいて、
地域系の仕事に関わることがあったんですけど、
そこの地域課題って、
リタイヤして団地からでてこない、団地の活動に関わらない、
自称“老人”たちをどうやって町に出すかってことだったんで、
すごく対照的ですよね。
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面白い話があって、
男は年をとったら愛嬌だと。男は本来そういう生きものだと。
だから年寄りが愛嬌をふりまける場を作らなくてはいけない。
それにはどうしても卑弥呼(※)がいるっていうんですよ。

※アイドル的な存在
無題3
面白い考えですね(笑)。
無題2
うちには、高知県立大学の清原ゼミという
熱血なゼミ生が5年くらい入って
地域のつながりを作ろうっていう活動を
地道にしてくれているんですけど、
やっぱり若い子が来るとね、おっちゃんたちもうれしいんですよ。
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お母ちゃんたちも若い男の子が来るとうれしいよね。
「しわがのびるわ~」なんて(笑)。
無題2
だからもっと、大学生との田舎の関わりが大事だと思ったので、
大学生×廃校って動きをやっていこうかなと。
例えば、ミス…、ミス田舎とか…? 田舎はないか(笑)。
無題3
ははは。

求む!プランナー、クリエーター

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いまの話は象徴的だと思うんです。
門田さんは結構企画マンで、
いろんな企画をやっちゃいそうだけど、
そうすると面白くなるんですよ。たぶん。
無題2
どういうことですか?
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そういう企画を作れる人ってすごく少ないんです。
地域資源はすごくあるんですよね、
材料を合わせれば面白いことができるし、TVも来るし、新聞も来て、
人が集まるっていうのはできるはずなんだけど、
最初の企画を作れる人が少なくて。
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だから県庁も狙ってるんですよ。
高知は移住促進をしてるけど、
そういう人材に来てほしいって。
無題3
きっと介護も同じで、
次のモデルを描ける人、起業家精神がある人が
増えてくれると面白くなるという認識だし、
工夫次第で次の時代のスタンダードを作ることもできると思う。
旗振る人がいるといいなって。
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介護業界でも、福祉って発想じゃなくて、
楽しい世界として、ちゃんとビジネスとしてやりましょうって
独自のアイデアを使ったり、地域力を巻き込んでやったりとか、
起業家としてやってる人はいっぱいいるわけですよ。
それがなかなか、広がっていかないんですよね~。
無題2
うーん。介護って線引きが難しいですよね。
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え? 線引き、ないですよ。
無題2
でもデイサービスでは、
これはここまではやっちゃいけませんとかってありますよね?
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介護保険法っていうのは、
解釈のしようがいくらでもあって、
ほんとうは現場でかなり自由にできるんです。
でも日本人は真面目だから…(苦笑)。
無題2
そうなんですか!
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ある施設はね。
おむつのストリップショーをやったり、
夜になったら居酒屋やったり。
楽しいから利用者が帰るって言わないの。
とにかく、当たり前の生活に近づけたいってやってるんですよ。
無題3
面白いですね。
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「ほっと平山」だって十分介護施設ですよ。
ちょっと寄り合うこともできるし、
ごはん食べてない人がいるなら
じゃあ、配食しようかってことができたり。
それも全部介護なんですよね。
無題2
なるほど~。
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だからもっといろんなデイサービスができていいのに。
私は決まり切ったところに毎日行きたくないから、
ショッピングモールみたいに介護モールとかがあって、
今日はあの店、この店って選べたら、わくわくする!!
無題3
いいですね!
やっぱりお酒も飲めないと。
高知の人はお酒好きですもんね(笑)。

イノベーションは辺境から!

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池田さんはネットやテクノロジーを使って
仕事をされてますけど、
こんなテクノロジーが使えるんじゃないとかってあります?
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メディカル系ではいろいろありますよね。
バーチャルリアリティのヘッドセットを、
パニック障害のリハビリに活用したり、
海外の医師とネットワークして、
自分の専門分野以外の症状について専門医の診断を受けたり。
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へええ~。
無題3
僕の知ってる起業家の中にも、“超最先端のテクノロジーを高知から”
というのを考えている人がいますよね。
東京でやろうとすると時間がかかる状況があるので、
まず、こっちにインストールして、改善して、広めていく。
高知には病院のネットワークもあるしスケールしやすいって。
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ついでに言うと、
高知県民は新しもの好きだしね。
無題2
そういえば、このまえもね。
ここでハッカソンをやったらどうかって話してて。
くさか先生みたいな漫画家さんと廃校のコラボで、
何かアプリを作れないかなって。
そこに介護も組み合わせられるといいっすね。
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そのときは、外部のプランナーやクリエーターと、
介護の現場ニーズをつなぐプロが必要になりますよね。
それが、これからの介護職の新しいスキルになるのかも!?
無題3
いいですね!
もっともっとクリエーティブな人たちが流動してきて欲しいです。
イノベーションは辺境からですよ!

★くさか里樹のつぶやき★

地域包括ケアっていうと小難しいけど、要するに「壁を取っ払う」ってことじゃね? イケハヤさんは「社会派」で「反社会派」で「生真面目」で「ゆるゆる」で…自由!ヘルプマンたちと共鳴し合うとすごいことになりそうです〜!
[
文: 編集部
写真: 飯島 裕
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