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認知症で失われた人生を
再び輝かせた音楽の力

音楽療法によって認知症の人々に劇的な変化をもたらしたドキュメンタリー映画。

アメリカのソーシャルワーカーのダン・コーエンは、かつてIT業界で働いていたとき、「思い入れのある歌(=パーソナル・ソング)を聴けば、音楽の記憶とともに何かを思い出すのではないか」と思いつきます。実験は始めてすぐに効果を発揮。長年認知症を患い、娘の名前も思い出せずふさぎこんでいた黒人男性のヘンリーは、好きだったゴスペル曲を聴いた途端、スイッチが入ったように音楽に合わせて陽気に歌いだし周囲を驚かせます。音楽を止めたあとも饒舌になり、音楽の素晴らしさや仕事のこと、家族のことを次々に語りだします。そして多くの患者たちにも劇的な反応が表れ…。

★★HELPMAN Point!★★

映画の中ではたくさんのお年寄りの変化が見られますが、その表情が本当にドラマチック。「ただ存在しているだけ」「機械のよう」と言われていた人たちが、音楽を聴いた途端、ピンとひらめく顔つきに変わり、目に輝きが戻ります。中には、涙を流す人さえいて、感情があふれ出ているのがわかります。作品では、それを「覚醒」と表現し、音楽は目覚めの芸術だと言っています。

また、現在の介護施設の在り方や老いに対する体制や考え方にも言及し、それらがお年寄りの選択肢や自由を奪っているのではないかと疑問を投げかけています。病や老いは身体の問題だけではなく心の問題。目覚めるきっかけさえあれば、医療行為だけでない手段があるのかもしれません。
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★「パーソナル・ソング」
2014年12月6日シアターイメージフォーラム他全国順次公開

【監督・脚本・プロデューサー】マイケル・ロサト=ベネット 【音楽】イタール・シュール 【出演】ダン・コーエン、オリバー・サックス、ボビー・マクファーリン 【提供】メダリオンメディア 【配給・宣伝】アンプラグド
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文: 岡本のぞみ(verb)
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