対談
「今月のヘルプな人」第3回(後編)/日本の介護をテーマにした漫画『ヘルプマン!』(講談社)の作者・くさか里樹さんが、さまざまなジャンルの“ヘルプな人”と対談するコーナー。前編に続いて、料理研究家のコウケンテツさんとのお話をお届けします。「忙しい日々の中でも、ゆっくり料理をする日や好きなものを食べる日を作ることができたら、毎日が楽しくなる」とコウさん。料理は、高齢者の夢を叶える元気の源になるのかも? そして、皆さんお待ちかね、コウさんが考える、高齢者に食べてほしいお料理のレシピも公開! 簡単にできるのに栄養バランスもバッチリ、世代を問わずおいしく食べられるメニューをお試しあれ!!

いま、料理にチャレンジする
“料理ジイ”が増えている!?

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そういえば、フィリピン人の介護士が日本に来て、
高齢者が外を歩いていることにびっくりしたっていうんです。
向こうでは高齢者は家の中で大切にされてるけど、
日本のじいちゃん、ばあちゃんは元気にうろちょろしてるから(笑)。
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確かにそうですね(笑)。
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それだけ現役意識が強いなら、
昔ながらの家族のつながり方はできなくても、
新しいコミュニティを作るとか、
いろんな楽しみ方が生まれてくるんじゃないかと思って。
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料理をする年配の男性もすごく増えてきていますからね。
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料理するじいちゃん、“料理ジイ”ですね!(笑)
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道を歩いていても、男性から声を掛けられることが多いんですよ。
デミソースをおいしく作る方法をいきなり聞かれたり(笑)。
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いきなりですか(笑)。
料理家としても新しい展開が生まれそうですよね。
アクティブな高齢者の食べる楽しみをサポートするとか。
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そうですね。いまはどこからが若者で、
どこからが中年、高齢者なのかって境目がなくなってきていますから、
60歳、70歳になってから新しいことにチャレンジする人も増えるでしょうし。
実は、僕の母が料理家になったのも、60歳くらいからなんですよ。
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そうなんですか! 
女性の生き方としてもかっこいいなあ!
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「みんなで食べる」料理は
元気の源になる!

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介護施設の中には、その日の献立をみんなで話し合って決めて、
買い出しに行ったり、料理をするところもあるんです。
そんなふうにごはんを食べられると楽しいなって思うんですが。
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普段の生活の中でも、週1回とか月に1回とかゆっくり料理をする日を作ると、
メリハリができていいと思います。
友達や家族を家に招いて、みんなでワイワイ料理を作ったり。
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みんなで食べるって、元気の源になりますもんね。
介護を受けている人のところに、
持ち寄りでもいいから集まるのもいいかも。
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子どものころ、近所の家に遊びにいくと、
「あんたも食べていき〜」って言われることがありましたよね。
そこで食べるごはんのおいしさって、説明できないじゃないですか。
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わかるわかる!
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みんなで食べると、料理のおいしさが何十倍にも膨れ上がる。
それが料理の素敵なところだと思うんです。

うまいものは誤嚥(ごえん)しない!?

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ある寝たきりの糖尿病患者が、もうダメかもしれないってときに、
好きなものを食べたら元気になったという話があって。
食べることは生きる力につながるんだなってつくづく思いました。
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へー!
そういえば、スリランカで悪魔払いの儀式を
見たことがあるんですけど~。
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あ、悪魔払いですか!?
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ただ、吉本新喜劇みたいなおもしろおかしい劇で、
村人たちが大爆笑してるんです。
笑うことで悪いものを外に追い出すんでしょうね。
それで思ったのが、食べ物にもそういう力があって、
時に、病気に勝るエネルギーにもなるということ。
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「うまいものは誤嚥(ごえん)しない」(※)ってある施設のスタッフも言ってました(笑)。
楽しく食べる、好きなものを食べるってホントに大切なんですよね。
※ 誤嚥(ごえん)とは、食べ物や異物などを気管内や消化管内に飲み込んでしまうこと。噛む (咀嚼)機能・飲み込む(嚥下)機能が低下した人に食事を提供する場合は、専門家の指導や指示に従ってください

介護施設で僕の料理を食べてもらえたら

画像/取材の最後に、くさかさんからコウさんへ、似顔絵入りの色紙をプレゼントしました!
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毎日は無理でも、「この日は料理を作る日」とか、
「好きなものを食べる日」って介護施設でも決めることができたら、
日常生活が楽しくなるんじゃないかと思います。
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そうですね。夢や楽しみがないと、人って生きられないし。
特に高齢になって、いろんなことを諦めないといけなくなったときには、
食事が一番身近な夢を叶えてくれるものだから。
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僕も介護施設に呼んでもらえたらいいな(笑)。
普段あまり食べない韓国料理を食べてみよう、とか。
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それは参加したい!(笑)
施設ではいろんなイベントをやってますけど、
コウさんが来るときには近所の人も集まってもらえば、
地域交流もできて盛り上がりそう。
それにしても、コウさんの一つひとつのお話が
「ヘルプマンジャパン」の精神そのままで、
今日は本当にびっくりしました。ありがとうございました! 

(了)

★くさか里樹のつぶやき★

「ビビンバがウマかった…じゃなくてぇ、コウさんはおしゃべりの達人です。またスープも絶品…いやいや、そっちじゃなくて、お料理がおいしいのはもちろんですが、おいしいものを相手に食べてもらおうと思う気持ちってヘルプマン魂に直結してる気がします!」(くさか里樹)
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コウケンテツさん特製! 
ビビンバ&鯛のわかめスープ

見た目にも楽しく、食べておいしい
毎日のごはんにバッチリなお手軽メニュー!

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今回、コウさんには高齢者に食べてほしい料理というテーマで
2品作っていただいたんですが、どうしてビビンバとわかめスープを?
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ビビンバもわかめスープも調理自体は簡単なんです。
それでいて、ビビンバは何種類もの野菜を
一度に食べられるから、栄養バランスはバッチリ。
わかめスープも韓国では妊婦さんが毎日食べるほど、
栄養満点なんですよ。
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料理をする上でのコツはありますか?
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じっくり時間をかけることです。
にんじんひとつにしても、
じっくり炒めると素材そのものの味が引き立つので、
塩分控えめでも十分おいしくいただけます。
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「どうせ生でも食べれるし!」って、チャチャッとやってしまうけど、
これからはそうします…(笑)。
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(笑)。あと、韓国料理はキムチもそうですが、調理の中で手をよく使います。
手で和えながら、素材にしっかり味が入っているかを感じる。
韓国語では「ソンマッ(手の味)」と言って、
手で和えることでもうひとつ味が入るといわれているんです。
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へ~!
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「心を込めて料理を作る」って言葉では言うけど、難しいですよね。
でも、手を使うと自然と心がこもりやすいんですよ。
★ビビンバ★
ほうれん草の葉のゆでナムル、牛肉の炒めナムル、にんじんのゆでナムル、トマトのナムル、大根の甘酢ナムルをホカホカごはんにのせていただく特製ビビンバ。
「一つひとつのナムルは薄味でOK。何種類も合わせることでほどよい塩分になります」(コウ)

【作り方(2人分)】
(1)ほうれん草の葉のゆでナムル:ほうれん草1わを、塩少々を加えた熱湯でさっとゆでる。水にとって冷まし、水気をしぼる。長さ3~4cmに切り、ボウルに入れて、しょうゆ、ごま油各小さじ1/2、白いりごま小さじ1を順に混ぜる。

(2)牛肉の炒めナムル:フライパンにごま油を熱し、すりおろしたにんにく、しょうが各1/2かけ分を入れて炒める。香りがたったらひき肉120gを入れてほぐしながら炒める。酒、砂糖、しょうゆ各小さじ2を順に加えて全体にからめる。

(3)にんじんのゆでナムル:にんじん小1本は皮をむき、斜め薄切りにしてから細切りにする。フライパンにごま油を熱し、にんじんがしんなりするまでじっくり炒める。甘みが出てきたら、塩少々をふってサッと炒め、白いりごま小さじ1を混ぜる。

(4)トマトのナムル:トマト1個は小さめのひと口大に切り、塩少々、酢小さじ1、ごま油小さじ1/2を順にからめる。

(5)大根の甘酢ナムル:大根100gは皮をむいて細切りにし、ボウルに入れて塩少々をふって10分ほどおく。軽く水気をきって、砂糖、酢各大さじ1をからめる。

(6)炊きたてのごはんに塩、ごま油各少々を混ぜ、器に盛って(1)~(5)のナムルと卵黄をのせて、混ぜていただく。
★鯛のわかめスープ★
ごま油の風味が食欲をそそる、鯛の切り身を使った特製スープ。
「白身魚以外でも、野菜や鶏肉、豚肉を入れて作ってもおいしいですよ」(コウ)

【作り方(2人分)】
(1)鯛の切り身2切れは小骨を取って3~4等分に切る。乾燥わかめ5gは水につけてもどし、細かく切る。

(2)鍋にごま油大さじ1を熱し、にんにくのすりおろし1かけ分、わかめを加えてさっと炒め、酒1/4カップを加えて煮立てる。昆布だし2と1/2カップを加えて再び煮立ったら、鯛を加えて中火で3~4分煮る。しょうゆ小さじ2を加え、塩、こしょうで味を調える。ねぎ、白いりごま大さじ1/2を混ぜる。

※ 高齢の方、特に食事をする機能が落ちている方に料理を提供するときは、専門家の助言を元に行ってください
[
文: 成田敏史(verb)
写真: 片桐圭
]
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