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2014.04.14 UP

終活中の父が家族に見せた立ち止まらない明るい生き方

死ぬまでの段取りをしている間に
訪れた家族との濃密な時間

娘が父の最期を撮り続けたエンターテインメント・ドキュメンタリー。

熱血営業マンとして高度成長期を駆け抜けた「段取り命」の父・砂田知昭。67歳で長年勤めあげた会社を退職し、これから第二の人生を送ろうとした矢先、がんが発覚。しかも、すでに手術が不可能な状態。しかし、本人は死ぬまでの段取りを自らの最後のプロジェクトとして取り組み、家族への覚書「エンディングノート」を作成。

残された家族のため、人生の総括のため、限られた日々を現役時代さながらに忙しく送ります。そして半年後、家族が見守る中、ついに最期は訪れて…。

★★HELPMAN Point!★★

知昭はがんが発覚してから、やるべきことを次々にこなしていきます。映画ではそれを11の“To Do List”として紹介。

「神父を訪ねる」「気合いを入れて孫と遊ぶ」「家族旅行でアワビを食べる」など、一つひとつを精力的に行い、まったく立ち止まってはいません。死に向かって段取りをしてはいますが、目いっぱい生きていて、「生」が凝縮しているかのような姿にハッとさせられます。老年期は積み重ねた時間の成果。人生の中で最も充実している期間なのだと気付きます。

一方、家族に目を向けると、父のやるべきことを尊重し、寄り添っている姿が印象的。誰も経験したことのない「死」を前に、家族が一体となって立ち向かっているように見えます。

この映画は、老いてからの時間が、本人にとっても看取る人にとっても濃密でかけがえのない時間であることを教えてくれます。


★「エンディングノート」
価格:3,800円+税(DVD)

【撮影・編集・監督】砂田麻美 【製作・プロデューサー】是枝裕和 【整音】弦巻裕 【音楽】ハナレグミ/主題歌「天国さん」(ビクターエンタテインメント/スピードスターレコーズ) 【キャスト】砂田知昭 【製作・発売・販売元】バンダイビジュアル
(C)2011「エンディングノート」製作委員会

【文: 岡本のぞみ(verb)】

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