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ヘルプマン

2013.11.12 UP

「面白いことやろうよ」が合言葉。 アイデアを生かす仕掛けをつくる

若手介護スタッフと一緒に地元FMラジオに出演したり、広島県のイベントで「福祉職場の魅力自慢コンテスト」に出場して優勝したり。葵の園・広島空港で事務次長を務める高原亮介さんの周りには、いつも新しいチャレンジがあふれています。本職は、総務・人事・経理・広報などを一手に引き受ける「なんでも屋」。「ふだんの仕事にプラスで、ワクワクできることを持っていたい。それは職員も同じ」と言う高原さん流の仕事術を聞きました。

若手職員が
ラジオで情報発信

僕の所属する事務部門は、一般企業でいう総務・人事・経理・広報などをひっくるめた役割。一言で言えば、「なんでも屋」です。職員の採用や研修、介護保険の届出もすれば、現場に出ることもあります。

また、葵の園・広島空港には、介護職員だけでなく医師や看護師、理学療法士、作業療法士など、介護と医療両方のスタッフがいますから、それぞれの部門が連携してより質の高いサービスが提供できるように、側面から運営をサポートするのも役割のひとつ。現場と経営の橋渡し的存在でもあります。

そんななかでも、僕自身が大切に取り組んでいるテーマが「職員が笑顔でいきいき仕事を楽しめる職場をつくる」ということ。自分も介護職員からキャリアをスタートしたのですが、職員自身が仕事を楽しめなければ、ご利用者さんに対してもいいサービスはできないという思いがあります。

新しもの好きというのもありますが、いつも何かワクワクするようなこと、小さなことでもいいから若いスタッフと一緒に現場のアイデアを生かせる機会をつくりたい。そのひとつが、地元FMラジオへの出演でした。

若手中心の広報委員会

葵の園は東広島市内でも比較的新しい施設なので、地元の方にもあまり知られていないという課題があります。実は、2014年の春に増床計画があるのですが、知名度を上げるにはどうすればよいだろうと頭を悩ませていたんです。そこで立ち上げたのが、若手職員を巻き込んでの広報委員会でした。

そんな中で出てきたアイデアがラジオ番組出演。他の施設ではやっていないし、面白そうじゃない?って。2013年の3月から、月に1回。スタッフが、どんな仕事をしているのか、介護の仕事を始めた理由、今後どうなっていきたいかなどを話してもらうようにしています。番組を聞いた人から、施設利用の希望や、働きたいという問い合わせも来るようになりました。

何より、スタッフ自身が外へ発信し反応を得ることで、自分の仕事を見直すきっかけにしてもらえればいい。施設の中で仕事をしていると、どうしても外からは見えにくくなってしまいます。だからこれからも外に向かって発信し続けたい。広島県のイベントで「福祉職場の魅力自慢コンテスト」(※)に参加したのもそんな理由からです。

※2013年7月、広島県社会福祉協議会主催の「福祉の就職総合フェア」で行われたイベント。各事業者が職場の魅力をプレゼンテーションし、来場した学生や求職者が審査・投票。葵の園・広島空港は、見事優勝を獲得した

自分の働きかけで
何かが変わる

他にもちょっとした試みは常に行っていて、現場にタブレット端末を導入しようとか、お祭りでちょっとぜいたくしてスターバックスのコーヒーを振る舞おうとか、楽器のできる職員を集めてバンドを作って演奏しようとか。ふだんの仕事にプラスアルファで、楽しむ仕掛けを率先して実現していきたいと思っています。

こうした働きかけの根底にあるのは、やはり自分自身の経験。僕は、入職して一番初めに、特別養護老人ホームで介護職員として働きました。このとき、僕が取り組んだのがおむつカバー改革。素材を変えることで疾患が減らせると考え、その効果やコストを自分でまとめて提案したんです。結果それが受け入れられて、業務が変わって、ご入居者さんやご家族など喜んでくれる方がいらした。これがすごく嬉しかったんです。

だからどんな小さなことでもアイデアを実現させたり、自分の働きかけで何かが変わったり、誰かに喜んでもらえたり、そんな経験を、若いスタッフたちにさせてあげたいと思っています。

外の世界と
つながる面白さ

もう一つ、僕自身のキャリアの中では、相談員の経験が大きい。相談員は、文字通りケアマネージャーさんやご家族からの相談ごとを最初に受ける役割。例えば、病院から退院しなくてはならないけど自宅での介護は難しいという場合。ご利用者さんの状況に合わせて葵会の施設で受け入れることができるのか、いっぱいのときは外部の施設に問い合わせたりしてベストな方法を探ります。困っているご利用者さんやそのご家族を、使えるものをすべて使って支援していけることにやりがいや面白みを感じました。

また相談員の仕事を通して、外から見て自分たちの施設や仕事がどう思われているのかを、病院や他の施設、ご利用者の家族、施設を知らないような人からの視点で理解できたことも大きい。それもあって、現場のスタッフがどんどん外の世界を見に行けるように機会をつくっています。

高原さんが
また何か持ってきた!

今後については、短期的には、2014年春の増床に向けて、スタッフ採用や研修、設備などの準備をしっかり行っていきたい。すでにご利用のお申し込みもいただいているので、ご利用者さんの期待に応えるということです。長期的には、もっと職員が外に出ていける風土や、アイデアを生かせる仕組みをつくりたい。

本当はもっと現場に入りたいと思っているけど、現場からは「客観的に見てほしい」と言われていて(笑)、たしかに離れているからこそ見えることもあるので、そこはバランスを考えながらやっていきたいですね。

何かやろうよと言うたびに、「次長さんがまた何か持ってきた」って笑われますが、これからも懲りずに提案し続けます。スタッフ自らがこれをやりたいと発信できる、若いスタッフがやりがいを持って輝いていられる、そんな組織をつくっていく。

そして僕自身、将来は、大変なことがあっても、いつもガハハと笑って、行動力があって、そんな面白いおじさんになっていたいです。

【文: 鹿庭由紀子 写真: 寺島タカシ】

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